高齢犬になると動きが鈍くなって、いつも寝ていることが多くなって来ます。外見も明らかに若い頃とは異なり、白い毛が出て来たりなどで高齢であることがわかるようになります。そして、人間が物忘れがひどくなって老化現象を気にし始めるように、ワンちゃんも外見の老化現象とともに11歳ぐらいになると痴呆(いわゆるボケ、認知症)と思われる症状が多くの子で現れると言われています。

犬の痴呆の原因とは

現在の段階ではワンちゃんの痴呆の原因は、はっきりと解明できていません。しかし、老化していく過程で明らかに脳の機能に異常を来たすような変化が起きていることは、ほぼ間違いありません。その結果、脳細胞が死滅して脳の萎縮が起こり、痴呆という形で症状が出てくると考えられています。また、ストレスが老化現象を早めるとも言われています。

犬の痴呆の症状とは

症状は様々で、全てが必ず出現するわけではなく、時間の経過とともに徐々に出現します。以下には、改めて考えてみると最近はこういうことがあるな、と気づいてもらえるキッカケになりそうな症状を挙げてみます。

名前を呼んでも反応しない。
家の方角がわからなくなる。
以前は訓練してできたことができなくなる。
家族や知っているワンちゃんに対して無関心になる。
ぼーっと立ち尽くしてどこかを見ていることがある。
不安があり、落ち着かない。
隅っこで方向変換できずに固まっている。
極端にイライラしている。
以前はお気に入りで遊んでいたオモチャやゲーム、おやつなどに無関心になる。
自分の体を綺麗にしない。
トイレの失敗がある。
昼と夜の逆転がある。
家の中を徘徊する。
無駄吠えや夜鳴きをする。
食欲不振がある。

上記はかなり細かい症状ですが、具体的にイメージができるものだと思います。これらの症状と重なりますが、犬の痴呆で最も明確に区別できる症状リストで DISHAというものがあります。これは五つの項目を中心に考えられたものです。

Disorientation: 見当識障害の意味で、自宅がわからない、道に迷うなど。
Interactions: 関わり合いの意味で、家族との関わり合いがうまくできなくなり攻撃的になったりする。
Sleep-Wake Cycle Changes: 睡眠覚醒周期の変化、夜起きて昼寝るなど。
House Soiling: 排泄を適切な場所でできなくなること。
Activity Level: 活動レベルのことで、好奇心などがなくなり、おもちゃを投げて取ってくるなどもなくなること。

この内一つでも当てはまると、痴呆の可能性は否定できません。しかし、それぞれの症状に何か別の原因がないか確認する必要があります。例えば、家族に対して攻撃的になったとしますと、実はとても背中が痛いのに知らずに背中を触ろうとしていたからだった、あるいは、膀胱炎になっていてすぐにでもトイレに行きたいけれど散歩に連れて行ってもらえずに、我慢できずに家の中でやってしまった、オモチャと遊ばないのは腰が痛かった、など、考えてみればいくらでも他の原因がありそうです。ですから、症状の一つ一つを確実に検討しなければいけません。

犬の痴呆の治療

残念ながら、確実に痴呆症にはこの治療法ですというものがありません。もしかしたら進行を遅らせることができるかもしれない程度のものとして考えられている治療法は、以下の2つです。

薬剤治療
特効薬は存在しませんが、痴呆は脳内における神経伝達物質のドパミンが減少すると言われおり、それに対してドパミンの量を増やすことができる薬が存在します。しかし、確実に効果が出るというわけではありません。また、人間同様にサプリメント DHA(ドコサヘキサエン酸)や EPA(エイコサペンタエン酸)が症状を改善する可能性があると言われています。
自宅でのケア
できるだけ運動は続けるようにして筋肉を鍛え、マッサージをしたり、外で日光に当たるように心がけましょう。そうすることで、昼と夜の逆転現象による夜鳴き問題なども解決できる可能性があります。また夜鳴きがある場合はそれに効果のあると言われる薬剤も併用すると良いでしょう。
自宅の部屋の環境は、ワンちゃんが過ごしやすいように室温には注意し、ぶつかるようなものを置かない、びっくりするような音はさせない、光などがチラチラしないようにする、という細かい工夫も必要になります。そして、トイレの失敗の時はすぐに片付ける、体を清潔に保つ、といった衛生面も完璧できるようにしましょう。
いくつになっても可愛い我が子ですから、最後まで飼い主さんのペースで頑張ってください。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

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