21世紀になって診断学の発展や予防薬と治療薬の開発、そして何より飼い主さんの飼育意識の変化によりワンちゃんの寿命は目覚ましく延びました。以前はなかなか診断できなかった病気も施設が整ったことで診断や治療がしやすくなり、それと同時に元気な高齢犬に遭遇する機会も増えました。しかし、今まで元気であったはずが、ある日突然調子が悪くなるのが高齢犬の難しいところでもあります。急に腰が立たなくなった、急に食欲がなくなった、急に吐く回数が増えた、など様々な症状がありますが、”ある日突然”訪れる症状の中でも”てんかん”は初めて目の当たりにすると、パニックを起こしてしまうのではないでしょうか。正に今までに一度も見たことがないので、どうして良いかわからなくなってしまうと思います。では、一体、この”てんかん”とはどういうものなのでしょうか?

高齢犬のてんかんの原因

小さい頃から全く健康に問題がなく、特にてんかん発作のようなことは一度もなかった場合には、ワンちゃんの体のどこかで異常が起きている可能性があります。一般的にてんかんと言われているものは”特発性てんかん”ですが、これは遺伝的な問題があるとも言われ、はっきりとした原因は不明です。また、ほとんどの場合、3ヶ月から6歳の間に発作が認められるとされます。しかし、高齢犬のてんかんとして取り上げられているものは、そういった過去の経験が全くなく、文字通り”突然発作が出た”と言う場合です。その原因と言われているものは、脳内における腫瘍(悪性、良性に関わらず)、肝臓や腎臓の疾患、薬剤による中毒、事故による脳へのダメージなどが挙げられます。

高齢犬のてんかんの症状

てんかんの症状については、若いワンちゃんでも言われていることと重なる部分があります。基本的に三つのステージからなります。

 前兆:数秒から数分の間、異常な行動が現れる。例えば、突然ウロウロしてみたり、隠れてみたり、逆に飼い主さんにすり寄ってきたり、変な鳴き声を出してみたりなどがある。

発作:数秒から数分の間、いわゆる痙攣、卒倒、流涎(よだれが出る)、失禁、脱糞、意識の喪失などが認められる。

発作後:数秒から場合によって数時間続くことがあり、発作症状が落ち着いた後も、しばらくフラフラしたり、やたらお水を飲んでみたり、などのどこか違和感のある行動をする。

 

高齢犬のてんかん発作が起きた時の心得

初めて症状が出た時にはびっくりして、何をして良いかわからないのは当然のことです。ですから、あえて深呼吸をして落ち着いて様子を見てあげなければなりません。そして、以下のことを心得て下さい。

 ・その場を絶対に離れずに、声をそっとかけながら見守りましょう。おそらく聞こえていないし、見えてもいないかもしれませんが、そばで声をかけることで、安心感が伝わる可能性があります。しかし、口元などに手を出したりすると危ないこともあるので気をつけて下さい。

・発作が起きた時の状況の記録をして下さい。時間がどれぐらいの長さであったか、何かきっかけがなかったか、どんな症状が現れたかなどをできる限り思い出して書き留めて起きましょう。
・発作が落ち着いたようならば、すぐにかかりつけの獣医師に連絡をして、記録したことを伝えて指示を仰いで下さい。
しかしながら、もしも発作が5分以上続くようであれば、その時点で獣医師に連絡をして緊急の対応をお願いして下さい。

 

高齢犬のてんかんの診断と治療

血液検査やレントゲンである程度の原因を除外して、最終的には脳のCTや MRIが必要になります。ただし、これらは麻酔のリスクがあるので飼い主さんの判断となります。また、治療に関してはワンちゃんのその時点での発作の頻度や一般状態と相談という部分が大きいです。症状が頻繁に起こることで体力を消耗して体調がさらに悪くなることもありますし、一方で、老化現象による体調の変化もあります。その為、治療薬も慎重に選ばなければなりませんし、体調管理のための通院も必要になります。

高齢犬のためのケア

若いワンちゃんと異なり、高齢犬の場合には麻酔のリスクや移動ストレスから、高度の検査や二次診療機関(個人病院ではなく施設の整った大きな病院)への通院が負担になることが懸念されます。できることは何でもしてあげたい反面、高齢という現実との戦いでもありますから、獣医師と相談しながら最良のケアを選んであげて下さい。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

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