犬の鼻は普段から湿っており、鼻水が出ていても気付かないという飼い主さんも多いかもしれません。ただし、犬の鼻水は時に緊急性の高い病気のサインであることもあり、鼻水が出ている場合はしっかり気付いて対応してあげなければなりません。

今回はそんな犬の鼻水に関する記事です。犬の鼻水をチェックする方法から、犬の鼻水が出るメカニズムと病気までを知って、危険な鼻水を見分けられるようにしておいてくださいね!

鼻水をチェックしてみよう

犬は鼻水を舐めてしまうので、パッと見ただけでは鼻水が出ているのかどうかわからないこともあります。まずは、鼻水のチェック方法をお教えしますので、愛犬に鼻水が出ているのかチェックしてみましょう。

ティッシュを使ってチェック

犬の鼻水はティッシュペーパーを使って簡単にチェックができます。犬の鼻先にティッシュペーパーを5~10秒くっつけてみてください。通常、鼻水が出ていないときは、ティッシュがわずかに湿る程度です。

ティッシュが明らかに濡れる場合は鼻水が増えている証拠です。ただし、鼻水は緊張や興奮でも一過性に増えることがあるので、さらさらした鼻水が増える場合は、落ち着いているときに何度か試してみるのがいいでしょう。何度やってもしっかりティッシュが濡れる場合は、鼻水が増えていることが示唆され、何らかの病気が隠れている可能性が高くなります。

黄色やピンク色の鼻水は要注意

黄色い鼻水や血まじりのピンクの鼻水が付く場合は、明らかに異常です。今現在、元気や食欲があっても、今後急に調子を崩す可能性があるので早めに動物病院で診てもらうようにしましょう。

鼻水はどうして出て来る?

では、なぜ鼻水が出て来るのでしょう?犬の鼻水を考えるうえで大切な、鼻水ができるメカニズムをお話しします。鼻水の作られ方は鼻水が作られる場所によって違いますので、部位別に考えていきましょう。

鼻水の作られる場所は大きく分けると2カ所。鼻の粘膜とそれより奥の気道です。

鼻の粘膜で作られる鼻水

鼻の粘膜でできる鼻水は、鼻腔の粘膜の炎症や感染などによって作られます。広い意味での「鼻炎」によって出て来る鼻水ですね。炎症や感染などがあると、鼻の粘膜の血流が増えたり、血管の透過性が亢進(炎症によって血管から血液の液体成分が出やすくなること)が起こって、鼻水が増えます。

病気でなくても、暖かいものを食べたり、急に寒い場所に出たとき、興奮や緊張があっても鼻粘膜の血流が増えることで、鼻粘膜から水分が分泌されて、鼻水が増えてきます。

鼻の奥で作られて出て来る鼻水

鼻水が作られるもう一つの場所が気道です。ここで言う気道は、喉(咽頭)~気管~気管支~肺のことを指しますが、これらの部位で作られた液体が鼻を通って出て来ることで鼻水になります。

気管支炎や肺炎などの炎症や感染による分泌物だけでなく、うっ血性心不全の危険な合併症である「肺水腫」でも、肺にたまった水が鼻水として出て来ることがあるので注意が必要です。それぞれの病気に関しては後程ご説明しますが、気道に水分が溜まる何らかの原因があると、鼻水として出て来ることがあります。

鼻水のタイプ

鼻水には、その性質によって2つのタイプがあります。水のようにサラサラな鼻水と、黄~緑色の粘性の強いタイプの鼻水です。また、それらの鼻水に血が混じる場合もあります。

サラサラの鼻水

サラサラの水のような鼻水は、非感染性の炎症であったり、感染症の初期段階の鼻水であることが多いです。通常、全身状態への影響が少ないことが多いですが、同時に呼吸が荒くなっている場合は肺水腫である可能性もあり、緊急性が高いので気を付けてください。

黄色く粘性の高い鼻水

一方で、黄色く粘性の強い鼻水は、細菌や真菌などの感染を起こしている可能性を示唆する症状です。重度の鼻炎や副鼻腔炎、気管支炎や肺炎などが隠れている可能性があり注意が必要です。

血交じりの鼻水

時々鼻水に血が混じることがあります。血が混じる場合は粘膜から出血してしまうほどの重度の鼻炎以外に、鼻腔内への異物の吸引や鼻腔内腫瘍(いわゆる鼻のがん)、肺水腫の可能性があります。

犬の鼻水が出たら疑うべき3つの病気

鼻水の出る代表的な病気を3つ知っておきましょう。それ以外にも鼻水が増える病気はいくつかあるため、原因不明の鼻水が出る場合は早めに動物病院で相談するようにしましょう。

鼻炎

鼻炎には、原因によってアレルギー性、細菌性、真菌性、ウイルス性などがありますが、主な初期症状は鼻水とくしゃみです。アレルギー性鼻炎や軽い細菌性、ウイルス性鼻炎などであれば、さらさらの鼻水であることが多いです。

一方で、細菌性や真菌性の鼻炎がひどくなると、黄色い粘性の強い鼻水が出てきます。透明の鼻水から粘性の高い鼻水になった場合は病気の進行が疑われますので、注意が必要です。

また、子犬に多いいわゆる「犬の風邪」や「ケンネルコフ」と呼ばれる病気はウイルス性の鼻気管炎です。この場合もくしゃみや鼻水から始まりますが、粘性の鼻水が出ていなくても一気に悪化することがあるため、子犬の鼻水は要注意だと思っておいた方がいいでしょう。

肺炎・気管支炎

肺炎や気管支炎の犬では咳の症状が強く出て来ることが多いですが、それに伴って鼻水が出て来ることがあります。

肺炎や気管支炎では、サラサラの液体よりも、ドロッとした黄色い液体が出て来ることが多くなります。鼻水やくしゃみと同時に発熱や食欲不振、呼吸が荒いなど、鼻炎に比べると全身的な影響が多く出てきます。鼻炎から気管支炎や肺炎に移行してしまうこともあります。

肺水腫

肺水腫は重度の心不全の犬に起こりやすい非常に危険な合併症ですが、鼻水の原因が肺水腫である場合、最も緊急性が高くなります。

心不全の犬では、心臓の働きが弱くなり、全身の血流が悪化すると、肺の血管に血液が停滞してしまいます。肺の血管に血液が停滞すると、血液中の水分が肺の中に染み出てきて「肺のむくみ」が起こります。その肺のむくみが肺水腫です。本来、空気が存在して酸素と二酸化炭素を交換するべき肺に水が溜まると、おぼれたような状態になり、呼吸困難を起こしてしまいます。

肺水腫では、その肺に浸み出た水分が気道を通って鼻から出て来ることがあります。肺からの出血が混じった、ピンク色の鼻水や嘔吐がある場合には、かなり状態が悪く、いつ急変するかわからない非常に危険な状態だと思ってもらった方がいいでしょう。

肺水腫の多くはもともと心不全がある子がなることが多いですが、感電や押さえつけなどの重度のストレス、熱中症などでも肺水腫が起こることがあります。肺水腫は犬で最も多い緊急状態の一つであり、すぐにでも動物病院で診てもらわないといけません。

関連:愛犬が咳? 〜咳がでたら要注意!僧帽弁閉鎖不全症と肺水腫について

 

まとめ

犬の鼻水は、かなり危険なものから興奮や緊張など問題のないものまで様々です。鼻水ができるメカニズム、鼻水が出る病気をしっかり理解したうえで、危険な鼻水の可能性がある場合は、早く病院で診てもらうようにしましょう。

犬で見逃されがちな鼻水ですが、今回の記事を参考に、愛犬の体調管理の一つとして鼻水にも注目してみてくださいね!

 

 

筆者adiantumg紹介

小さいころから犬・猫を含めてさまざまな動物が好きで、獣医師を目指す。2005年に獣医科大学を卒業し、獣医師免許を取得。2件の動物病院で合計9年勤務。

犬・猫・シマリス・熱帯魚の飼育経験あり。現在夜間救急動物病院で勤務しつつ、今年度中に自身の動物病院を開業予定。

 

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