レイジ・シンドロームとは何やら怖い名前ですが英語の rage(激怒、猛威)をそのまま使っており、ワンちゃんが突然キレた状態になってしまう病気を表します。
普段から大人しく、全く行動に問題ないワンちゃんが突然怒りを露わにする理由は、例えば、自分の守るべき領域であるベッドを見知らぬ人に触られたり(縄張りを守る)、見知らぬ人が怖い、痛いから触ってほしくない、などが挙げられます。しかし、この病気は何も理由がない状態で突発的に怒り出して、人間に対しても非常に危険な行動に出る為、飼い主さんが被害に合う可能性があります。この突発性の状況は、まるで発作が出たように見え、実際、ワンちゃんの脳の感情をコントロールする部分に何らかの異常を認めると言われています。

元々、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルという犬種に多く認められた為、スプリンガー・レイジと呼ばれることもありますが、そのほかにもコッカース・パニエル、プードル、ゴールデンレトリバー、ドーベルマンでも多いとされ、遺伝する可能性があります。

犬のレイジ・シンドロームの症状

激怒するという意味からも想像できるように、何の前触れもなく発作的に凶暴になり、そばにいる人や物に襲いかかるような行動に出ます。この状態は数分から場合によっては数時間のこともありますが、しばらくしてまた普通の状態に戻ってしまうのが特徴です。そして普通に戻ってしまった時には、ワンちゃん自身、何があったのかさっぱりわかっていない状態に見えます。発作が出ている間は、吠えたり、歯をむき出しにして噛み付いたり、唸ったり、瞳はかっと見開いて完全にコントロールを失ったようになります。
発症は早くて生後3ヶ月程度から遅くて2歳程度と言われいますが、飼い主さんは初めは単なる躾の問題と勘違いしていることが多く、手に負えなくなって獣医師や訓練士に相談することになります。

犬のレイジ・シンドロームの診断と治療

診断は一つの検査ではつきません。まず、ワンちゃんの行動が異常であるか、或いは正常であるかの判断は飼い主さんの稟告(りんこく、症状がどんなであるかを説明)がポイントになります。ワンちゃんが手をつけられないような怒りの発作に襲われたのは、どのような状況であったかを正確に説明することが非常に重要です。なぜなら、飼い主さんが全く気にしていない事でも、ワンちゃんにとっては不都合であり、怒りのきっかけであった等の勘違いがあってはいけません。ですから、発作の前にあった出来事、時刻(午前、午後、夜、電気を使う時間、など)や発作の長さ、また天候や周りにいた人、その人がどんな行動をしていたのか、などの情報を詳しく記録しておくことが必要です。特に発作の直前にあった出来事は、明らかにワンちゃんを怒らせてしまった行動ではないことを判断する重要材料です。

行動学的な問題は脳の腫瘍の存在も疑わなければなりませんから、一般的な血液検査とレントゲン検査、さらには脳のMRIを撮影することになります。また、脳波もこの病気の診断に役立つことが十分期待できます。
治療に関しては、残念ながら完治することがない病気であり、飼い主さんはいつ何時起こるかわからない発作と”どうお付き合いしていくか”を検討しなければなりません。例えば、ご家族に小さなお子さんがいたりした場合は、ワンちゃんの病気を根気よく説明してあげる必要があります。そして、発作の前兆と思われるような行動の変化などがわかれば、その際にどういう態度をとればよいかを常にご家族で話し合っておきましょう。ご家族で連携プレイをすることで、小さいお子さんを守る、また、ワンちゃんが怖い動物ではないということをお子さんに伝えていくことができます。
病気との付き合い方に加えて、発作を止めるような薬剤がありますから、そちらを併用することも選択肢の一つです。しかしながら、薬剤を使った場合には効果が期待通り出る場合とそうでない場合がありますし、一生涯薬剤を使う可能性があり、定期的に血液検査をして副作用が出ていないことを確認しなければなりません。
難しい病気ではありますが、飼い主さんの対応の仕方と内服薬で上手にコントロールができれば、確実に乗り越えることができると思いますので諦めずに頑張りましょう。

 

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

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