ワンちゃんの診察では皮膚病は割に多いのですが、中でも飼い主さんがとてもびっくりして連れて来るのが”ホットスポット”と言われる皮膚病です。これは英語の hot spotsをそのまま訳さずに臨床現場で使っている言葉ですが、症状を見たら納得する名前ではないでしょうか。すなわち、皮膚の一部が熱を持って真っ赤な炎症を起こしているのです。これはヒリヒリとした痛みを伴い、触るのを嫌がることがあります。

犬のホットスポットの原因

この病気はある日突然、急にやって来ます。症状がとても痛々しい印象を受けるので慌ててしまいますが、どんなワンちゃんにもなる可能性があります。
一般的に言われている原因は、元来、ワンちゃんの皮膚にはたくさんの常在細菌と言われる細菌類がいますが、これらが一部で急に何かをきっかけに増殖して症状を出すのです。常在菌は皮膚の上でバランスをとって生活をしているわけですが、このバランスが崩れる理由は、例えば、ワンちゃんが舐めたり、引っ掻いたり、の行為を連続的に行うことにあります。そして、舐めたりする理由は以下のようなものがあります。

ノミ寄生やノミアレルギー(これはかなり多いケースです)
ノミ以外の外部寄生虫(カイセンなど)
食物アレルギー、アトピー性皮膚炎
シャンプー剤などのアレルギー
肛門腺
腫瘍
外耳炎

ノミなどの外部寄生虫がいる場合、かゆみが生じてワンちゃんは確実に引っ掻いたり、口が届くところは舐めたりを繰り返します。また、食物アレルギーでかゆみが出たり、外耳炎の耳に対しても同じことが言えます。そして、割と遭遇するのがシャンプー剤のアレルギーです。せっかく体が綺麗になっても、シャンプー剤が合わなかったが為に発症することもあります。
肛門腺に関しては、元々出しづらいワンちゃんは常に違和感を感じていて、お尻をフロアに擦り付けたり、舐めてしまう傾向がありますが、これも危険信号です。腫瘍に関しても、やはり違和感から気にしていじってしまいがちです。

犬のホットスポットの特徴

先に述べたように、真っ赤で痛々しい状態ですが特徴を挙げると以下のようになります。

急激なかゆみがある。
急激に広がる紅斑(斑点状に赤くなった皮膚)を認める。
表面はしっとりしている。
一部は皮膚が削られたように見える。
脱毛を伴う。
健康な皮膚の部分との境界線は明瞭である。
痛みを伴う。

大抵、ホットスポットは一箇所の皮膚のみで認めることが多いですが、中には複数箇所認める場合もあります。部位としては、体幹部(背、胸)、首、顔、お尻周り、太もも(外側)などが比較的多いとされています。長毛種や被毛が厚い犬種に多く、特にアレルギーの問題が以前にあったり、外耳炎体質、ノミ駆除がされていない、肛門腺がいつも出しづらい、被毛が絡まりやすく毛玉になっている、などのワンちゃんも注意が必要です。
更に、ワンちゃんの体質以外にもストレスから来る行動などによって皮膚をいじる結果、ホットスポットを発症する可能性は否定できません。

犬のホットスポットの診断と治療

診断には注意が必要です。見かけが同じような症状である疾患があるので、最初に行うことはノミ・ダニのチェックと、同じように痒みが出ることがある外部寄生虫の有無のチェックです。特に皮膚の中に住んでいるダニなどは、皮膚を削って検査をするので、削れてしまって赤くなった部分をごくわずかと言え、更に削り取るのは辛い話ですが、とても重要な検査です。そして、皮膚表面の検査結果と合わせて診断をして行きます。
治療のはじめの一歩はまず毛刈りです。これは飼い主さんが嫌がる場合が多いですが、清潔を保つ為には仕方ない処置です。そして、炎症と痛みがひどいので軽く消毒する程度にして、多くの場合、即効性のある注射をして、様子を見ながら内服薬を使うことになります。また、ホットスポット治療には必ずノミやダニの駆虫(寄生を認めなくても予防的に)は必要となります。これらの駆虫(予防)をしておかないと、それが理由で同じことをぶり返す可能性があるからです。
治療を開始すると1週間から10日の間に明らかな改善が見られ、数週間以内で完治すると思います。

犬のホットスポットの予防

ホットスポットや他の皮膚の病気の予防には、以下のような方法があります。

ノミ・ダニ予防薬を定期的に使う。(種類が多数あるので獣医師の指示に従って使用)
新しいシャンプーや家庭内の洗剤などとの接触に注意する。(環境の見直し)
フードは低アレルギー食にする。(獣医師と相談が必要)
ストレスを溜めさせないで頻繁に遊ぶ。
皮膚表面を常にチェックして清潔を保つ。

どれも簡単なケアですから、普段から是非気をつけてあげて下さい。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

病気になる前にドッグフードをチェック!!

スポンサードリンク

いいねするだけ!フェイスブックで最新記事をお届け

無料メルマガ配信中