ワンちゃんの気管虚脱という病気は、呼吸する際にストローがペッチャンコになったように気管が潰れてしまい、空気の通りが悪くなる為、呼吸しづらくて特徴的な乾いた咳をします。気管はCの形をしたリングが重なったような軟骨でできていて、空気を肺まで送ったり、逆に肺から外に送り出したりする役目をします。しかし、このリングのような軟骨が何らかの原因で徐々に潰れてしまい、いわゆる虚脱状態になることがあるのです。そして多くは遺伝的な問題があると言われています。

犬の気管虚脱の症状

一番重要な症状である乾いた咳のタイミングは、普段の行動で言えば、食べた後やお水を飲んだ後です。丁度、人間が食べ物や飲み物が気管に入った時に咳をするかのように見えますが、この場合は気管自体のダメージで咳をしてしまいます。そして運動などをすることで明らかにひどくなります。その為、呼吸が苦しいことによりだんだん運動を嫌がったり、常に息苦しそうにしていたり、舌の色が紫になったりすることがあります。最悪の場合には呼吸困難で倒れてしまうこともあります。
これらの症状は、飼い主さんが帰宅して興奮した時や、暑く蒸し蒸しした季節などによく見受けられますから注意が必要です。そして、太っている場合には脂肪が気管を圧迫するので症状を誘発することになります。

気管虚脱の原因

まず第一に遺伝が原因と言われています。小型犬に発症するリスクが高く、ヨークシャーテリア、ポメラニアン、トイプードル、チワワに非常に多く認められます。年齢は、だいたい6歳から7歳頃に症状が出始めると言われていますが、それよりも早く出る場合もあります。
遺伝以外の原因としては、慢性的な気管の病気(感染症など)、肥満、老化などが考えられます。また飼い主さんが喫煙者であった場合、気管を痛めるリスクが上がって発症する可能性が出てきます。

犬の気管虚脱の診断と治療

安静にしていて咳が出てない場合には、わざと咳を出させるコフテスト(cough test)というものを行います。気管を軽く刺激してやるテストです。これにより、どのような咳をしているのか診ることができます。
次に、レントゲン検査により気管の状態を確認します。しかしながら、場合によってはレントゲン検査ではっきりわからないこともあります。ここで重要なのは、感染症などで咳をしているのか、心臓の問題から咳をしているのか、或いはどこかに腫瘍ができて気管を邪魔しているのか、などを明らかにすることです。ですから、レントゲンでは気管だけでなく心臓や肺の状態も確認し、血液検査では感染症の有無を見たりすることになります。
気管虚脱と診断がついた場合には、まず咳を止める薬(鎮咳薬)、気管支を広げて空気の通りを良くするための気管支拡張剤、そして気管は炎症を起こしているので消炎剤を内服薬として飲むことになります。その後、症状が落ち着いて来た場合には内服薬の量を調節したりしますが、気管は元の状態に戻るわけではないので全ての薬を止めることはできません。
また、この段階で太っているワンちゃんは絶対に痩せることが必要になります。痩せることで気管への負担はかなり減るのです。
この他、外科的な選択肢もありますが、殆どの場合は内服薬に頼ることになります。

犬の気管虚脱の予後と維持

症状が一旦落ち着いた後は、すぐに運動を始めずに徐々に増やしていくことで筋肉が落ちないようにしてあげます。また、減量が必要なワンちゃんは、着実に体重を減らすことが何よりも大事な治療の一つです。
生活面では普段からあまり興奮をさせないように気をつけ、外出時にはハーネスを使うことで首への刺激を減らさなければいけません。ワンちゃんの多くは、歩く速度によってはリードを引っ張る行為をするので、その際に首輪が気管を刺激して咳が出る、炎症をぶり返す、などの悪循環にならないようにして下さい。
体重管理、適度な運動、ライフスタイルの工夫の三点に気をつければ、内服薬で十分に維持できる病気ですから、しっかりとフォローをしてあげましょう。

犬の気管虚脱の予防

特に遺伝的にこの病気になりやすい犬種だけでなく、どの犬種でも予防は大事なことです。小さい時から太らせないことや首を刺激するような行為を防ぐ、興奮してもすぐに大人しくさせる、といったポイントに注意するようにしましょう。単純ではありますが、リスクを減らす意味では十分に効果を期待できると思います。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

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