膝蓋骨脱臼、何やら漢字だらけの名前ですが、これは簡単に言えば膝のお皿の問題です。このお皿(膝蓋骨、しつがいこつ)がしっかりと膝の定位置に乗っておらずに外れ(脱臼)、膝に痛みや腫れが生じて跛行をする病気を膝蓋骨脱臼と言います。そして、ワンちゃんの中でも小型犬に意外に多く見られ、膝蓋骨が肢の内側に脱臼する場合と外側に脱臼する場合がありますが、内側に脱臼する方が圧倒的に多いと言われています。

この病気は先天性と後天性に分けることができますが、先天性の場合は生まれた時から膝に構造上の問題があり、年齢と共に症状が表に出てくるという経過を辿ります。また、後天的というのは、交通事故や落下事故などによる怪我や栄養の問題などが考えられます。

以下に、動物病院で最も多く遭遇する先天性膝蓋骨脱臼が多い犬種を挙げます。

 

 小型犬:ミニチュアプードル、トイプードル、ヨークシャーテリア、ポメラニアン、チワワ、ボストンテリア、ペキニーズ、キャバリアキングチャールズ、パグなど。

中型、大型犬:柴犬、シェルティー、秋田犬、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ボクサー、ハスキーなど。

 

先天性の場合は遺伝的な問題が明らかなため繁殖には向かず、何れにせよ避妊や去勢手術を生後6ヶ月頃までに行うことが理想的です。

犬の膝蓋骨脱臼の症状

この病気は初めの内は殆ど症状がわからずにいます。しかし、飼い始めてから初のワクチン接種などで来院された場合には、必ず健康診断の一部として膝のチェックを触診で行いますから、症状が表に出ていない幼い段階で注意を受けられた飼い主さんも多いと思います。そして、以下のような症状を認めたら要注意です。

 たまに後ろ肢を挙げて歩いたり、走ったりしている。
立ち上がりが悪い。
ジャンプや走る、などをやりたがらない。
階段を嫌う。
後ろ肢を触らせない。

特に、たまに肢を挙げる仕草をスキップしているような姿と表現されることが多いですが、道を散歩しているワンちゃんを見ていると意外にもよく遭遇します。これは非常に特徴的な症状で、ワンちゃんはこの時点で違和感や痛みなどを感じているわけです。

犬の膝蓋骨脱臼のグレード

膝蓋骨脱臼は症状を元に病気の重篤度をグレード1からグレード4で表現します。

 グレード1:この段階では膝蓋骨が正常の位置から脱臼しても、自然に元の位置に戻ることができていると考えられています。しかし、時間の経過と共に状況は悪化を辿ります。
グレード2:何らかの動きで脱臼してしまった膝蓋骨は自然に元の位置に戻らず、手を使って元に戻してあげなければいけない状態が訪れます。

グレード3:グレード2で膝蓋骨を支えている靭帯が引っ張られていますから、放置しておくと脱臼した膝蓋骨を戻してもすぐに脱臼するようになります。ここまで来ると、靱帯を支えている骨(大腿骨や脛骨)は、靱帯の引っ張られ具合に応じて変形してしまい、結果的に歩き方にも明らかな問題が出てきます。

グレード4:この段階では、脱臼した状態が常に続き、肢を完全に伸ばしてあげても、元に戻すことはできなくなっています。

犬の膝蓋骨脱臼の診断と治療

膝蓋骨脱臼の診断は、まず歩行の仕方や肢の角度をチェックすることと、触診して膝蓋骨の戻りを見ることから始まります。次にレントゲンで骨の具合を確認していきます。基本的には症状のグレードを診断し、急性の疼痛に応じて即効性の高い注射や内服薬を処方されたり、外科的な手術によっての治療も選択肢に入ります。もちろん、手術の場合は、膝の状態が具体的にどうなっているかにより手術方法も変わりますし、年齢や費用との相談にもなってきます。しかし、殆どの場合、まず内服薬と生活習慣の見直し(階段昇降などの負担を減らす、体重管理など)からスタートします。

最近では、人間同様に膝などの関節を強くするサプリメントが多く出ています。この病気を持ったワンちゃん達には、軟骨を強くして炎症を抑える硫酸グルコサミンやコンドロイチンを含んだものが推奨されています。また、サプリメントは継続することで効果を十分発揮するわけですから病気だと諦めずに、是非、獣医師の指示通りに与えるようにしましょう。

犬の膝蓋骨脱臼における注意ポイント

膝蓋骨脱臼と診断された場合、まず大事なことは、絶対に太らせてはいけないということです。これは人間で膝の関節が痛いという患者さんに整形外科のドクターがアドバイスすることと全く同じです。4本の肢で支えているとは言え、何と言っても理想体重を維持して膝に負担をかけないようにしなければいけません。
次に、小型犬の場合はソファの上やベッドの上にジャンプすることが多々ありますが、膝に負担がかかる運動ですから習慣づけないようにして下さい。そして、カーペットを必ず敷いて、家の中で滑らないようにすることも重要な予防になります。
最後に、症状が重篤な時には絶対に無理をさせない一方、運動不足を招いて筋肉が弱まり、更に体重増加につながっても困ります。ですから、運動開始のタイミングと運動量に関しては、獣医師と相談しながら調節をして下さい。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

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