甲状腺の働き

体には色々な器官がありますが、あまりよく働きがわからないのが甲状腺ではないでしょうか?例えば、心臓は血液を送る、肺は呼吸に関係している、といった漠然としたイメージが湧いてくるものですが、甲状腺と聞いてすぐに働きが思い浮かべられるでしょうか?

まず、甲状腺は人間もワンちゃんも首の両サイドに一つずつ存在しています。ここから甲状腺ホルモン(チロキシン、あるいはサイロキシンと言います)を産生と分泌をします。このホルモンは、食餌から摂取されるタンパク質、脂肪、炭水化物などを体の中でエネルギーに変える働き(代謝)を促進し、体が元気で活発になるように働きます。普段、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンが甲状腺に働いて、甲状腺ホルモンが体内で一定になるように調節をしています。

犬の甲状腺機能低下症の症状

甲状腺の異常にはどういうものがあるかと言いますと、ワンちゃんでとても多いのが甲状腺機能低下症です。データは色々ありますが、性別にあまり関係なく、年齢が2歳から6歳のいわゆる中年とも言える年齢で発症することが多いです。文字通り機能が低下してしまうため、分泌されるはずの甲状腺ホルモンが十分に分泌されずに不足してしまう病気です。ホルモンが不足すると、結果的に以下のような症状が認められます。

 脱毛(特に尾の脱毛は rat tail ラットテールと呼ばれます)
 皮膚炎(膿皮症と言われるカサブタが全身にボツボツできます)
 色素沈着(皮膚にシミのようなものが現れます)
 元気消失(悲しそうな顔、尾をあまり振らないなど)
 体重増加
 寒がり
 心拍数低下(徐脈)

もちろん、これら以外にも様々な症状がありますが、飼い主さんが初めて異常に気がつくのは、おそらく皮膚の症状だと思います。経験上、脱毛や皮膚炎で困っているということで来院されて診断されることが多いです。そして、質問していく上で、そう言えば元気があまりないかもしれない、あるいは体重が増えているかもしれない、といった形で一つ一つ謎が解けていくという具合です。

犬の甲状腺機能低下症の原因

甲状腺ホルモンが分泌されるまでの流れは3段階あり(以下に示します)、それぞれの段階により3つの原因が考えられます。

脳にある視床下部(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンを分泌)

脳にある下垂体(甲状腺刺激ホルモンを分泌)

甲状腺(甲状腺ホルモンを分泌)

原因の一つ目は、甲状腺そのものに異常がある場合です。つまり、甲状腺が働かなくなってしまった結果、ホルモンが足りなくなってしまうという流れです。二つ目は、下垂体の異常により、甲状腺に働きかけるホルモン(甲状腺刺激ホルモン)が正常に分泌されなくなり、結果的に甲状腺が働かないという状態です。最後の三つ目は、下垂体に働きかけるホルモン(甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)を分泌する視床下部という部位の異常があります。その異常により下垂体が働かず、甲状腺も働かなくなるわけです。
ワンちゃんの場合は、一つ目の甲状腺そのもの(原発性と言います)が異常であることが殆どと言われています。

犬の甲状腺機能低下症の診断

甲状腺機能低下症は簡単な血液検査(甲状腺ホルモン検査)で判明します。ですから、例えば皮膚の問題を主訴に病院に行かれた時に、血液検査も同時に行う必要があると言われてびっくりされるかもしれませんが、その理由の一つは、甲状腺機能低下症のチェックであることを知っておくと良いでしょう。
また、治療はほとんどの場合、足りないホルモン(甲状腺ホルモン)を補うことと(これは生涯となります)、表面に出ている問題、すなわち、皮膚炎などがある場合には補助的に必要な抗生物質などを服用しなければいけないことがあります。しかし、数週間もすればホルモンが安定し始めて、皮膚の働きが活発になり、脱毛が明らかに改善してフサフサになって来たり、皮膚炎がすっかり綺麗に改善、元気が出て尾を振って喜び、動作も活発になるという変化がわかると思います。正に”蘇る”という印象があり、飼い主さんも元気が出てくる瞬間でもあります。そして、その頃にはホルモン剤の量も調節をして、例えば最初は一日2回だったのが1回に減ったり、といったことも期待ができます。しかしながら、定期的な通院と血液検査が絶対に必要となりますので、飼い主さんの頑張りが重要です。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

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