特に女性の飼い主さんは、ご自身の体重や体型を美容と健康のために気にされることが多いと思いますが、実は動物にとっても体型や体重はとても重要な健康バロメーターです。

人間の病院で体重を毎回測定される方はあまりいないと思いますが、動物病院の場合は、まずは体重と体温を測定するのが基本です。それによって、普段の状態を確認しています。

しかしながら、ワンちゃんの場合は犬種によってサイズの大きな違いがありますから、何kgだと標準であるという判断は難しいと思います。そんな場合は、見た目で太っている、痩せている、あるいは普通である、という判断をすることになります。その時に役立つのが、Body condition score (ボディコンディションスコア、BSC)という数字です。

犬のボディコンディションスコア

BSC(ボディコンディションスコア)は、数字が大きいほど太っていることを示し、1から5で表します。見た目で体型の太っている、痩せているを判断するのは、その人によって感覚が異なるので主観的になりがちですが、誰にでもわかるガイドラインが存在します。

BCS 1 遠目でも明らかに肋骨や骨盤が見えており、筋肉も非常に薄い。
BCS 2 肋骨や骨盤が見えており、触っても脂肪が認められないが多少の筋肉は認める。
BCS 3 肋骨や骨盤は触ると存在がはっきりとわかり、脂肪は少なく、腰のくびれがある
理想的な体型。
BCS 4 肋骨や骨盤は触るとわかるが、脂肪の量が多め、腰のくびれもわずかに認める。
BCS 5 肋骨や骨盤は触ってもわかりにくく、背中が平らになり、尾の付け根も脂肪が目
立つ。また、腹部にも脂肪が目立ち、腰のくびれは消失している。

つまり、真ん中の数字、3がベストであることがお分かりだと思いますが、ポイントは腰のくびれです。人間でも”くびれ”は話題になりますが、ワンちゃんでも重要な指標になります。

犬の肥満による弊害

人間において肥満は健康に良くないと言われている理由は、様々な病気の原因になる可能性がとても高いからです。そして、当然、ワンちゃんも肥満であることは不健康の象徴と言えます。例えば、少し走ったら、すぐに疲れてハアハアと苦しそうに息をして暑がる、それにより血圧も上がる、といった状況はイメージできると思います。そして、人間同様に糖尿病になる可能性が高く、関節炎を伴ったり、はたまた免疫力の低下や、麻酔に関するリスクが上がる、などが挙げられます。つまり、動物が太っていると可愛いと思っていても、結果的には複雑な病気になる可能性が高くなってしまうのです。

犬が肥満になる原因

一般的にフードを与え過ぎたり、運動不足である場合は太るのが当たり前です。最近は、ワンちゃんの為のトリーツ(おやつ)の種類も豊富になりました。そして簡単な訓練のご褒美にトリーツをあげる習慣がある飼い主さんもいらっしゃるでしょう。しかし、ここで確認したいのは、トリーツもカロリーがあることを忘れていないかということです。人間が太る理由と同様にトリーツを食べ過ぎてしまえば、カロリーオーバーで肥満へまっしぐらとなります。

過去に、診察中でさえトリーツを小まめに与えるアメリカ人の飼い主さんに、ワンちゃんの肥満とトリーツ習慣を注意したところ、たまたま、祖国に3週間戻る間に知り合いに預け明らかにスリムになっていたという経験があります。
もし、うちの子は太っているかもしれないと思われたなら、次の点をまず見直してみて下さい。

①一日のフード量は、適当に与えていないか?
②トリーツを与えている場合、その分のカロリーを差し引いて主食のフードを減らしているか?
③お散歩を十分にしているか?

さて、フードや運動が飼い主さんの管理次第であることは明らかですが、もう一つ、知っておかなければいけないことは、隠れた病気によって肥満になることもあると言うことです。特に甲状腺機能低下症副腎皮質機能更新症(クッシング症候群)などの病気は要注意です。
また、参考までに太りやすいと言われていて、実際によく太っている状態で見かける犬種を挙げておきます。

ダックスフンド、スコティッシュテリア、キャバリア・キング・チャールズ、ビーグル、コッカースパニエル、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ロットワイラー、セントバーナード、バーニーズマウンテンドッグなど。

犬の減量

人間は食事を制限して痩せるのが難しいですが、ワンちゃんはそれほど難しくありません。人間は我慢ができずに食べてしまうことがありますが、ワンちゃんは飼い主さんに依存しているので、飼い主さんが管理をしてあげれば食べ過ぎることはありません。

しかし、減量の最初の一歩は理想体重がどれぐらいであるかを知ることです。獣医師に理想体重がどれぐらいかを教えてもらい、その理想体重に必要なフードの量を与える必要があります。(現在の体重でなく、理想体重の必要量であることに注意です!)大抵、フードの袋や缶詰のラベルに参考量が書いてあると思います。また、フードはカロリー控えめで満腹感を満たしてくれる減量専用フードを利用するのも一つの方法です。(カロリーは、標準的な成犬5kg 約280kcal/日、10kg 約470kcal/日が必要と言われていますが、生活条件で全く異なります。)

運動に関しては、いきなりの運動は厳しいですから、体調に合わせて少しずつ距離や時間を延ばすことが望まれます。ただし、何か病気を患っていたり、高齢であったりの場合は獣医師のアドバイスを受ける必要があります。そして、短期間に痩せることは体に負担がかかりますから、焦らないようにしなければいけません。理想的な減量は1週間に当初の体重の1〜2%と言われています。

最後に、理想体重まで痩せた後も定期的に体重測定することを忘れずにしましょう。自宅測定が難しい場合は、動物病院で測定してもらえるので、お散歩のついでに立ち寄ってみるのも良いでしょう。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

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