ワンちゃんやネコちゃんでも貧血は存在し、その原因や状態によって沢山の種類に分類されています。貧血は赤血球の数が少ない状態やヘモグロビンの濃度が低い、或いは両方の状態を指しますが、ハインツ小体性溶血性貧血という貧血をご存知でしょうか?

ハインツ小体性溶血性貧血とは

ハインツ小体と聞いて、すぐにはピンと来ない方が殆どであると思いますが、まずこのハインツ小体の正体を探ってみましょう。

これは、酸素を運搬する役割がある赤血球のヘモグロビンが変性した結果であり、赤血球の表面に見られます。顕微鏡で覗いてみると、丸く付着している姿がわかります。そして、これこそが溶血性貧血(赤血球が壊されて起こる貧血)を起こす原因となるのです。

ハインツ小体性溶血性貧血の原因の代表的な物に、タマネギやニンニクがあります。これらの食物は、大抵、人間の食事を与えてしまうなどの”飼い主さんのうっかり”でワンちゃんが口にしてしまう物です。

その他の原因は、薬剤や化学物質(例えば鎮痛・解熱で服用するアセトアミノフェン、保湿剤として使用されたりするプロピレングリコール)、ビタミンK、亜鉛、銅、病気(糖尿病など)、と様々です。

症状として急に貧血になるということではなく、徐々に体が貧血の状態に向かって行きます。例えば食べ物が原因の場合には、それを口にした直後ではなく、数日経過してから体調不良に気づくこととなります。

ハインツ小体性溶血性貧血の症状

どんなタイプの貧血の状態も非常に危険ですから、早めに気がついて治療をしてあげなければなりません。貧血初期は表に明らかとなる症状が見えませんが、以下には貧血が少し進行している場合に、比較的多く見られる症状を紹介します。

 

・元気消失:普段はリードを自分で持って来て、喜んで長い散歩に行くはずの子がすぐに帰ろうとする、或いは、家から出たがらないなどの変化が見られることがあります。

・食欲低下:元気に続いて、一番わかりやすい症状でもあるのが食欲の変化です。いつもすぐに食べてしまう子が、やたらと残したり、全く食べない、などで飼い主さんがおかしいことに気づきます。

・呼吸:貧血になると、酸素を運ぶ赤血球の数が減ることになります。その結果、運動も長続きせずに、すぐにハアハアと呼吸が速くなり、座り込むなどをすることがあります。

・粘膜の色の変化:歯茎の色は、正常な状態よりも薄いピンクに退色ていることがあります。

・尿の色:重症な場合には、尿の色が正常時よりも濃く、赤褐色に近いような色になることがあります。

・その他:どの内科的な病気でも言えることですが、消化器症状(下痢や嘔吐など)が出ることもあります。

 

ハインツ小体性溶血性貧血の診断と治療

殆どの場合には、粘膜の色チェックと血液検査ですぐに”貧血”の診断がつきます。また、数日以内に食べた物(誤飲した可能性がある物を含めて)などを飼い主さんから聞いて参考にしながら、原因を突き止めていきます。

血液検査の内容は、白血球や赤血球などの血球成分の数と、ヘマトクリットと言って血球成分の体積の割合(ほぼ赤血球の体積の割合に相当、パーセントで表示、参考:ヘマトクリットが35%が下回ると貧血傾向にあると考えられます)、更には血液塗抹を作成して実際に顕微鏡でハインツ小体の存在を確認します。

貧血に付随して出ている症状も考慮しながら、軽度である場合には必要な薬剤を使用したり、食餌やサプリメントによる治療を中心に行います。重度である場合には、輸血を行うことも視野に入れる必要があります。しかし、原因を取り除き、適切な治療を適切なタイミングで行えば、予後は決して悪くはありません。

ハインツ小体性溶血性貧血にならない為の注意

このタイプの貧血になる原因の殆どは、うっかり何かを口にしてしまったという事故や、飼い主さんが間違えてあげてしまった、というミスから起こります。特に人間の食物の中には、ハンバーグのようにワンちゃんでも喜んで食べてしまいそうな物がありますが、実はタマネギが刻まれて大量に入っている、などの落とし穴があり得ます。そして、加熱処理されていても、その中に含まれている貧血を招く物質は安定しているので、どの状態で食べても危険度は変わりません。

ですから、盗み食いに注意をし、喜ばせる為に与える事は辞め、普段から口に入る物はドッグフード(手作りフードを含め)と犬用トリーツ以外にあってはならない、ということをしっかりと頭に入れておきましょう。

たまに人間の薬を与えてしまったという飼い主さんがいらっしゃいますが、この場合も、ハインツ小体性溶血性貧血に限らず、与えた薬物によって何らかの中毒になる可能性が十分考えられます。飼い主さんの為に処方された薬は、飼い主さんのみが服用、ワンちゃんには絶対に与えないようにしましょう。

 

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

 

病気になる前にドッグフードをチェック!!

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