元々群れを形成して生活していた犬は、表情や体、仕草などを用いて仲間同士で意思疎通を図ることがあります。

これをカーミングシグナルといい、ペットとして飼われている犬でもたびたび見られる行動です。犬のカーミングシグナルを覚えておくと、その時犬が何を思っているのかを理解することができます。

この記事ではそんな犬のカーミングシグナルについて、詳しく解説していきます。

執筆名:坂井愛
自己紹介:小さい頃から動物が好きで、ペットの専門学校を卒業した後、動物関係の仕事に就いています。愛玩動物飼養管理士と動物看護師の資格を活かし、皆さんのお役に立つ情報をご紹介できればと思っています。

カーミングシグナルって?


犬はぴょんぴょん飛び跳ねて喜びを表したり、姿勢を低くして唸り声をあげて威嚇したりと、全身や表情で多くの感情を表現します。

ボディーランゲージの中でも、カーミングシグナルは「相手と自分を落ち着かせるための行動」として行います。このシグナルを示すことで、不安やストレスを和らげようとしているのです。

また、相手に敵意がないと知らせる時にもシグナルを出し、犬同士の対立を回避しています。相手への攻撃性を断ち切るという意味から、カーミングシグナルはカットオフシグナルとも呼ばれています。

カーミングシグナルは犬同士だけのもの?


犬同士の対立を防ぐためと前述しましたが、人や環境などにおいてもシグナルを出すことがあります。

例えば犬を厳しく叱りつけた時、知らない人に触られた時、大きな騒音を耳にした時…など、犬が恐怖や不安、ストレスを感じた際によく見られます。

これまでに約30個ほどのシグナルが確認されていますが、どれも何気ない仕草が多いため、初めは意識して観察しないとわからないかもしれません。
具体的にどんなシグナルがあるのかをご紹介します。

顔、目、体をそむける

犬が他の犬や人と対峙した時、ふと顔を横にそむけることがあります。
これは近づいてきた相手を落ち着かせようとするシグナルです。顔をそむける時は一瞬の時もありますし、しばらくそむけたままでいることもあります。
たまに写真を撮ろうとしてカメラを向けると、顔をそむけてしまう子がいますが、カメラに対して不安を覚えている証拠です。
他にも、視線をそらして不安を解消したり、体を横向きにしたり、背中を向けたりすることでシグナルを示す場合もあります。

関連:犬が目を合わせないでそらそうとするのはどうして?

鼻をなめる、舌を出す

不安や緊張を感じた時、すばやく鼻をなめたり、舌を出すことがあります。

一瞬の動作なので見逃しがちなシグナルの1つかもしれません。このシグナルは黒っぽい毛色をした犬に多いとされていますが、体の色が濃いために舌を出す瞬間がわかりやすいためだと考えられます。

静止する

他の犬と対面しお尻の匂いを嗅がれている間、じっと動かずにいる行動はカーミングシグナルです。相手へ敵意がないことを知らせるためにじっと動きを止めているのです。
ちなみにお尻の匂いを嗅ぐ行為は相手が誰かをチェックしているだけなので、カーミングシグナルではありません。

ゆっくり歩く

犬のゆったりした動作にも、カーミングシグナルの効果があるとされています。
歩調を緩めたり、体をゆったり動かしたりする時には、相手や自分を落ち着かせようと試みている可能性があります。

あくびをする

あくびをしている姿を見るとつい、眠いのかな?と思ってしまいますが、不安や恐怖心を抱いたり、ストレスを感じたりした際に、シグナルとして表すことがあります。
愛犬の苦手とする人や場所、物に接した時、あくびをしていたら緊張しているのかもしれません。

匂いをかぐ

相手に敵意がないことを知らせるため、地面の匂いをかぐフリをして顔をそらし、落ち着かせようとします。
しかしシグナル以外でも普通に物の匂いをかぐことがあるため、それがシグナルかどうかの見極めは難しいかもしれません。

しっぽを振る

犬がしっぽを振る時は喜んでいる時、だけとは限りません。
飼い主に怒られている時にもしっぽを振りますが、これは相手の怒りを落ち着かせようとするシグナルです。
飼い主の声や表情を見て「怒られるかも…」と不安に感じた際にもしっぽを振ります。喜んでいる時とは表情も違うので、よく観察してみましょう。

身震いをする

犬は体が濡れた時に体を振って水気を飛ばすことがありますよね。このような動作をシグナルとして見せる時があります。
何もしていないのに、突然ぶるぶると体を震わせる時があったら、犬がストレスを感じているサインかもしれません。

座る、伏せる

他の犬が近付いてきた時や、強い口調で声をかけた時などに、犬がその場に座り込んでしまったことはありませんか?これは不安やストレスを緩和させるためのシグナルです。
また、伏せの姿勢もシグナルになります。自分よりも上位の犬に対して示すこともあれば、遊び疲れて落ち着きたい時に伏せをすることもあります。

間に割って入る

友達と会話している時や、他の犬と出会った時など、愛犬が人や犬の間に割り込んできたという経験はありませんか?
この行動もシグナルと考えられ、接近し過ぎた者同士の間に入ることで、争いを防ごうとしているようです。

体を掻く

自分に近づいてきた人や犬、物などに対し、興味はあるけれど不安も感じているような場合、体を掻くことがあります。
興味と不安という複数のことを同時に考えた時に見せるシグナルで、葛藤行動とも呼ばれています。

カーミングシグナルを活用しよう


犬のカーミングシグナルについてご紹介しましたが、これらのシグナルの中を活用して、犬の不安やストレスを解消することができます。
例えば犬が不安を感じているなと思った時、犬に見えるようにあくびをします。そうすると犬はつられてあくびをし、リラックスしてくれるでしょう。
他にも意図的に毛を逆撫でて、身震いさせてやれば、犬のテンションを払い落とすことができます。
また、顔や体をそむけたり、その場に座ったりするシグナルも有効です。
犬が行うカーミングシグナルを飼い主が行うことで、同じ効果が得られるのです。

まとめ

小さなシグナルは見落とすことが多く、わかりにくいと感じるかもしれません。
しかしカーミングシグナルの面白さは、人でもシグナルを出せるところにあります。

愛犬を見て「怖がってるな」「不安そうだな」と感じたら、こちらからカーミングシグナルを出して落ち着かせてあげましょう。

自分があくびをして見せた時、犬もあくびをしてくれたら、犬の言葉で会話できた証拠です。
興味のある方はぜひカーミングシグナルを覚え、犬とのコミュニケーションに活用してみてください。

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