犬も人間と同じ哺乳類ですので体重の0.2%は塩分です。このため、塩分を摂取することは犬が生きていくためには必須です。しかし、塩分は多すぎても少なすぎても体に悪い影響を及ぼします。犬にとって必要な塩分量や、過剰摂取・欠乏時の影響について解説します。

そもそも塩分とは?

塩(食塩)は、塩化ナトリウム(NaCl)のことです。塩分とは食物や水などの物質に塩化ナトリウムが含まれている量のことを意味します。
ナトリウム(Na)は細胞が正常に機能する上で重要なミネラルで、塩素(Cl)は細胞外液の濃度の維持に重要な元素です。
人間が必要な塩分量は、厚生労働省の1日あたりの塩分摂取量の目標値によると、男性:8g、女性:7gとなっています。

汗と必要な塩分量

人間は全身から汗をかきますが、犬の場合は汗をかく汗腺が足の裏側(肉球)や鼻の頭付近とわずかしかないため、汗をかく量はわずかになります。このため、汗による塩分の放出がなく、人間と比べると体重あたりの必要な塩分量は少なくなります。

と、いうように解説されている記事をよく見かけますが、体外への食塩排出量のうち、汗から排出されるのはせいぜい2〜5%程度で、ほとんどは尿から排出されていますので、実際には大差ないといえます。

ドッグフードに必要な塩分量

それでは、具体的にドッグフードに必要な塩分量はどの程度なのか?
AAFCO(Association of American Feed Control Official:米国飼料検査官協会)が定めるナトリウムの基準量は、乾物量で0.08%以上となっています。また、FEDIAF(European Pet Food Industry Federation:欧州ペットフード工業連合会)が定めるナトリウムの基準値は0.1%以上で、上限値は不明ですが、健康な成犬の場合少なくとも1.5%までは安全だということが確認されています。
簡単のため、ドッグフードのエネルギー量を400kcal/100g、MER(維持エネルギー必要量:通常の活動をしながら体重を維持するのに必要なエネルギー量)を110kcal/kg^0.75、ナトリウムの原子量を22.99、塩素の原子量を35.45として必要な塩分量(乾物値換算でのナトリウム量0.1%〜1.5%)を求めると、

3kgの超小型犬の場合は、159mg〜2,390mg
10kgの小型犬の場合は、393mg〜5,897mg
20kgの中型犬の場合は、661mg〜9,917mg
30kgの大型犬の場合は、896mg〜13,441mg

となります。

ちなみに、人間と同じ60kgで計算すると、1.5g〜22.6gとなりますので、体重あたりで考えるとあまり変わらないことがわかります。
ただし、病気の犬の場合は上限値では多すぎることには注意が必要です。

ドッグフードは、主原料だけでは必要な塩分量に満たないことが多いため、塩分を添加して調整されています。
また、塩分は喉が渇いて水を飲むことを誘発します。尿路結石対策のドッグフードには、水を多く飲んで尿の量を多くするために、塩分が多めに添加されていることがしばしばあります。

塩分が不足したときに起こる影響

犬のナトリウムの必要量は少ないため、不足することは稀ですが、ナトリウム欠乏が起こると、情動不安、心拍数の増加、飲水量の減少及び尿量の増加といった症状が見られます。
また、塩素が欠乏すると、虚弱、成長遅延、カルシウム欠乏症を生じます。

・排尿後に陰部を入念に舐める
・土やコンクリートを舐める
・人の体を執拗に舐める

といった行為が見られる場合、不足した塩分をなんとか摂取しようとしている場合がありますので、塩分不足が疑われます。

ドッグフードには塩分量を明記することは義務付けられていないため、多くのドッグフードでは塩分量の記載がありません。心配な場合はメーカーに問い合わせるとよいでしょう。

塩分が過剰なときに起こる影響

ナトリウムを過剰に摂取すると、嘔吐および粘膜の乾燥が起こります。
また、塩素の過剰摂取により、血中のカルシウム及びカリウム濃度が変化し、代謝性アシドーシス(呼吸以外の原因で体が賛成に傾きすぎる病状)を引き起こします。
このような症状はなくとも、定常的に過剰な塩分摂取をすると、腎臓や心臓に負担をかけてしまいます。腎臓や心臓に疾患がある場合は要注意です。

人間用の食品は、一般的に塩分が多く使われていますので、頻繁に与えると塩分の過剰摂取になってしまう恐れがあります。
ドッグフードには犬にとって十分な量の塩分が含まれていますので、人間用の食品は与えないことが大切です。

筆者プロフィール:yukiya.hi
動物好きが高じて脱サラしペットフード販売業を営む。大切な家族の一員として、体に良いペットフードをあげたいけれど、どうやって選べばよいのかわからないという飼い主さんに、カウンセリングを通して最適なフード選びを提案しています。

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