ヨーロッパの中でもドイツはアメリカの専門家が参考にするほど、犬を初めとする動物に対する愛護システムが徹底しています。その徹底度のグレードを示す一番重要なポイントは、法律(憲法)で、動物は人間によって保護されるものであるという事を明文化している点です。

実際に保護という言葉が意味を示すかというと、痛み、苦しみ、怪我、といった状況に陥らせないようにする、ということです。

具体的に禁止している事項は、以下のようになります。

①過度の負重
②トレーニングに痛みを伴わせる
③苦しめる
④傷つける
⑤放棄する
⑥健康的な理由以外で強制的に給餌する(肥育)

どれも納得できる禁止事項ですが、これらは魚類を含む全ての脊椎動物やタコ、イカ、といった動物も対象になっています。

しかしながら、意外なことにWorld Animal Protectionのランク付けでは Bとなっており(日本は D)、Aとされるオーストリアやイギリスには、それでも追いついていない点もあるようです。

参考:https://api.worldanimalprotection.org/country/germany

その1つの原因には、おそらくUniversal Declaration on Animal Welfare (UDAW)に対する援助が不十分であると言えます。

この宣言は、産業動物、伴侶動物、実験動物、運搬動物、野生動物、リクリエーションにおける動物、に対しての動物愛護を訴えたものであり、こういった動きに対しての積極的な働きかけが欠けていることから Dと判断されています。

このポイントは日本においては Gとなっていますから、日本の場合は、まずは日本国民がこういった宣言が存在していることを知る必要があります。

 

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

 

ドイツの殺処分に対する考え方

ドイツでは、no-kill policyが徹底しています

如何なる動物も、如何なる理由があったとしても殺してはいけない、というものであり、安楽死に関しては、非常に苦しみを伴い、医学的に生きている状態こそが苦しみであると判断された場合にのみ許可されます。

ですから、殺処分がゼロと言っても、安楽死は全く行われていないわけではありません

また、飼い主に捨てられた動物に関する殺処分ゼロと趣旨が異なりますが、人間に危害を加え、死に至らしめる可能性がある動物(躾が出来ていない伴侶動物や野生動物も含む)と判断された場合には、残念ながら警察による”処分”が適用される場合もあります。動物が人間を攻撃するのは、それなりの理由があるわけですが、動物よりも人間の命を優先するという倫理的な矛盾も存在します。

どんなに動物愛護の先進国ドイツであっても、非常に無責任な飼い主は存在します。

不幸にも、そういった飼い主に捨てられてしまったペットの動物達が道路や山で発見されたとしたら、その後はどうなってしまうのかが気になります。

もちろん、シェルター(Tierheim)に送られるわけですが、シェルターに収容されても里親が必ずしも見つかるわけではありません。見つからなかった場合には、どうなるのでしょう?

実は、シェルターの設備は非常に充実しており、最終的には里親が見つからない場合でも、余生をそこで過ごして良いことになっています。非常に単純なシステムですが、この殺処分をしないという単純な理由から、殺処分ゼロを実現しているのです。

ドイツのアニマルシェルター

日本のシェルターの現状と比較すると、ドイツのシェルターは全く状況が異なります。

基本的に獣医師や看護師が常に動物のケアを行っています。例えば、保護した犬が万が一、避妊や去勢をされていない場合でも、里親に出すまでに必ず手術をして、ワクチンとマイクロチップが挿入されています。

性格に問題がある犬や猫は、専門家による問題行動に対するケアも行われます。

このように徹底して管理されている理由は、これまた非常に単純です。里親になりたい人の多くは、①既に病気の子、②性格が悪い子、は敬遠してしまいがちです。ですから、獣医師や訓練士によって完璧な状態に育て上げて里親探しを行っているのです。

ドイツで犬を飼う際に必要な事

ドイツの犬は非常に躾が良く、まるでドイツ人のようだと言われていますが、その理由の1つに、飼い主の責任意識があります。

動物は人間と同じであるとすれば、周囲の人にも気を使う、周囲の動物にも気を使う、ということが必要になる訳ですから、犬が躾されて周囲に迷惑をかけないようにする、ということは当たり前とも言えます。また、ドイツでは犬に対する税金が必要であり、州によっては飼い主に対して試験を行って、その責任能力を評価するところもあるそうです。

我々専門家のサイドからはこれらは当然のことであり、非常にありがたい環境と言えますが、それでも1つ気になる事を挙げるとすれば、シェルターが必要でなくなる日がまだ到来していないという事実です。

動物愛護先進国ドイツであっても、やはり、飼い始めた動物を捨てる人がいるという人間の愚かさを再認識しなければなりません。

関連:子犬は売らない?日本とヨーロッパ(欧州)のペットショップの違い

 

ドイツの保護施設ティアハイムについての記事一覧

参考記事①:海外における動物支援の制度と日本を比較してみる

参考記事②:ドイツ犬事情

参考記事③:ドイツの犬の保護に関する法律

参考記事④:ティアハイムとは~ペット先進国ドイツの動物保護事情

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