スイス・アルプスの犬といえば、セントバーナードですよね。ずっしりと重厚感のある体つきをしていますが、とても心優しい犬なんです。
家庭でも飼われることのある犬種ですが、実は過去に人助けをしていたことを知っているでしょうか?
今日はそんなセントバーナードについてご紹介していきます。

執筆名:坂井愛
自己紹介:小さい頃から動物が好きで、ペットの専門学校を卒業した後、動物関係の仕事に就いています。愛玩動物飼養管理士と動物看護師の資格を活かし、皆さんのお役に立つ情報をご紹介できればと思っています。

セントバーナードってどんな犬?


セントバーナードの祖先は1000年代に、アルプス山脈にある旅人たちの救護場所として建てられた僧院で、番犬として働いていました。
その後、捜索や救助の能力を見いだされ、多くの遭難者を救う救助犬として活躍しました。これまでに救った人の数は2000人以上とも言われています。
救助犬として貢献してくれている犬は他にもいますが、救助犬を目的として作出された犬種はセントバーナードだけだそうです。
歳月をかけて改良がくわえられ、今では世界屈指の超大型犬になりました。
体高61~71cm、体重は50~90kgが平均ですが、過去には133kgのセントバーナードがいたと記録されています。

セントバーナードの性格

セントバーナードはゆったりした動きを見ていてもわかる通り、温厚でおおらかな性格をしています。人懐っこく、飼い主に忠実で愛情深い犬種です。
甘えん坊なところもありますが、マイペースで用心深い一面も。
また、やや頑固な部分もあるため、しつけは少々手こずるかもしれません。

セントバーナードの毛質、毛色

セントバーナードの毛質は短毛と長毛の2タイプです。短毛の上毛は密集していて、やや荒めです。長毛は上毛、下毛ともにふさふさと豊富な毛量をもち、寒さにも耐えられる被毛になっています。
毛色は一般的なホワイトに赤みがかかったブラウンの班があるもの、ブラウン、ブリンドル、イエロー、オレンジなどがあります。

セントバーナードの魅力


物語の中に登場する姿に憧れて、セントバーナードを飼い始めたという人も多くいるでしょう。大きな体を飼いにくいと考えるか、魅力と捉えるかは人それぞれですが、多くのキャラクターのモデルに起用されたのには、セントバーナードが持つ魅力が大きいのではないでしょうか。

40人の人命を救った名犬バリー

17世紀から遭難者の救助にあたっていたセントバーナード。中でも「バリー1世」という救助犬は、10年の間に40人もの命を救ったという話があります。
この犬種の名前候補に「バリードッグ」の名が挙がるほど有名な救助犬でした。バリーは死後剥製にされ、ベルンの自然史博物館で今もその姿を見ることができるそうです。
セントバーナードが多くのアニメや映画のモデルに選ばれることが多いのは、この犬種が持つ勇敢さや優しさが人々の胸を打つからではないでしょうか。

大きな体と優しい心の持ち主

現代の犬は、小さければ小さいほど人気がでる傾向にありますが、とにかく大きな犬を飼いたいという方にとって、セントバーナードは魅力的に映るでしょう。
大きな体のわりに甘えん坊で、のんびり構えているように見えますが、実は冷静に周りを観察していることがあります。
飼い主だけなく、知らない人や犬、他の動物、子供とも仲良くなれる優しい心を持っています。しわの多い顔もなかなか愛嬌があり、ゆったり歩き回る姿は癒しと安心感を与えてくれるでしょう。

運動は散歩でOK

救助犬として働いていたため、膨大な運動量が必要に思えますが、広場を走り続けるような激しい運動はあまり得意としません。
肥満になりやすい体質なのである程度体を動かすことは重要ですが、1日2回、1時間ほどの散歩で十分です。
少々運動は苦手…な方でも、散歩であればゆったりウォーキングを楽しめるのではないでしょうか。

セントバーナードの価格


セントバーナードの価格はだいたい20~30万前後が相場になっています。
価格は性別や血筋、月齢によって異なりますが、目立って安価な子犬は何かしらの理由が考えられるので、販売元に理由を問い合わせてみましょう。
また、ペットショップではセントバーナードの取り扱いが少ないため、専門のブリーダーから入手する方が理想の子犬と出会える確率は高くなります。
価格面だけに捉われず、健康な子犬であるか、性格は良好かをチェックしてください。

セントバーナードがかかりやすい病気


大型犬は体が大きい分、骨や関節に負担がかかることが多いです。健康に長生きしてもらうためには、病気の早期発見と日頃のケアが重要になります。

眼瞼外反症

眼瞼外反症は、下まぶたが外側に垂れさがってしまう状態をいいます。セントバーナードのように顔の皮膚がたるんでいる犬種に起こりやすい先天性の疾患です。
まぶたの内側が常に外気にさらされてしまうため、乾燥から細菌感染しやすくなりますので、動物病院で処置を受けましょう。

股関節形成不全

股関節を形成する関節が咬み合わなくなる状態で、生後6か月から2歳までに発症します。
原因は遺伝性のものや、成長期に過度な運動をしたり、栄養が偏ったりすることで引き起こされるケースがあります。
足を庇うような歩き方をするため、異常は発見しやすいです。悪化すると痛みを伴い、歩行困難になるため、早めの治療をおすすめします。

関連:レトリバーやシェパードは要注意!犬の股関節形成不全について徹底解説!

外耳炎

耳垢に細菌や酵母菌の繁殖、ダニの寄生、異物の混入などによって起こります。
耳をかゆがったり、頭を振ったり、後ろ足で耳を掻いたりする仕草が見られたら、耳の異常を疑いましょう。耳だれや悪臭で気づく場合も多いです。
外耳炎は耳のお手入れをすることで予防することができますが、耳道を傷つけないようメンボウは使わず、柔らかいガーゼなどで優しく汚れを拭き取ります。

関連:たれ耳の犬はなりやすいので注意!トイプードルと外耳炎の関係

胃捻転

胃の中がガスなどによって膨れ、ねじれることで起こります。お腹の膨満や、元気消失、呼吸困難などが症状として見られるようになります。
胃捻転は突然発症し、重篤になる危険があるため、すぐ動物病院へ連れていきましょう。
原因は食後の過度な運動、過剰で急激な餌の摂取などが考えられます。
予防としては食事の1回の量を減らして回数を増やし、ゆっくり餌が食べれるような状態を作ることです。また、食後の運動は2時間くらい間を空けてから行ってください。

関連:犬の胃拡張・胃捻転症候群について~症状や治療、なりやすい犬種に予防方法を解説!~

セントバーナードを飼う上での注意点


セントバーナードを室内で飼うには、十分なスペースが必要になるため、室外飼育がほとんどです。冬の寒さに強い被毛を持っていると言っても、雨風をしのぐ犬舎は必要不可欠でしょう。
その他、セントバーナードを飼育するにあたって注意すべきことをまとめました。

よだれが多い

セントバーナードは非常によだれが多い犬種です。口元の皮膚がたるんでいることや、暑さに弱いことから、口からしょっちゅうよだれを出していることがあります。
「よだれなんて汚い!」と思う方は、セントバーナードを飼うことはできません。
ブラッシングや爪切りなどのお手入れと同様に、タオルで拭きとってあげましょう。
よだれかけをつける飼い主もいるようですが、すぐビシャビシャになってしまうことも…。

トレーニングは根気強く

セントバーナードは物覚えが良く、利口だと言われています。しかし自分が納得しないと言うことを聞かない頑固な部分がありますので、初心者は扱いにくいと感じるかもしれません。
穏やかな性格とはいってもかなり力が強いので、上手くしつけでコントロールしないと散歩時に苦労します。
しつけが上手くいかないという時は、無理せずドッグトレーナーに相談してください。
あっという間に大きくなってしまうため、子犬の頃からトレーニングを始めましょう。

飼育費用がかかる

体が大きいということは食べる量も多いです。さらにペットサロンのトリミング代や、動物病院の検査費なども、小型犬と比べると高値になることが多いです。
いろいろな面で平均よりもコストがかかることを覚悟しておきましょう。

まとめ

セントバーナードは有名な犬ですが、日本ではあまり見かけません。小型犬の人気が長く続いているせいもあるかもしれませんが、超大型犬の飼育に不安を覚える方が多いのではと思います。
確かにコストの面や生活スペースなど、さまざまな問題をクリアしなければならないので、簡単に飼える犬種でないことは間違いありません。
しかし例え大型犬だったとしても、きちんとトレーニングを行い、飼育環境を整えてあげれば、頼もしい家族の一員になれるはずです。
セントバーナードに目をつけた方は、まずこの犬種を理解し、どんな飼育が必要なのかを考えてみてくださいね。

スポンサードリンク