拡張型心筋症は進行性で、よく風船に例えられます。心臓を構成している壁である筋肉が広がって、その厚みが薄くなってしまう病気で、丁度風船が膨らんでゴムが薄くなるようなイメージです。その結果心臓の収縮力が低下して、心臓が大きくなります。その後、うっ血性心不全になったり、不整脈が現れることがあり、適切な治療をしてあげなければワンちゃんは早期に亡くなってしまう可能性があります。

発症は4歳から10歳、特にオスに多いと言われており、多くは心臓の左側のダメージが大きいとされますが、左右両方に問題が出てくることもあります。心臓の左側には肺から綺麗になった血液が送り込まれ、これが全身に回るようになりますが、心臓のポンプ機能が低下してしまうことで血液の巡りは悪くなり、肺へ戻ろうとする血液の影響から肺に水が溜まったり、結果的に全身の状態が悪くなります。中には心臓にある弁(心房と心室を分ける弁)にも問題が生じることがあり、弁がしっかりと機能しないことで血液の逆流が心臓内で起こることもあります。

主な症状は、疲れやすい、食欲低下、すぐに呼吸が苦しくなる、咳をする、失神、などが挙げられますが、早期には飼い主さんが気づくほどの明らかな症状が出ない為、ワクチン接種や定期健康診断で偶然ルーチンな視診、触診、聴診、などで発見されることもあります。

rihomeopath
筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

犬の拡張型心筋症になりやすい犬種

免疫異常や感染症が関係している可能性や、原因不明とも言われていますが、12キロ以上の犬、遺伝性、或いは特に大型犬のいくつかの犬種(ドーベルマン、コッカー・スパニエル)ではタウリンやカルニチンといった栄養分の問題が関係している可能性もあると言われています。以下に一般的にリスクが高いと言われている犬種を挙げます。

大型犬で4歳以上で発症する可能性が高い犬種

・グレート・デーン
・アイリッシュ・ウルフハウンド
・アフガン・ハウンド
・オールド・イングリッシュ・シープドッグ
・ダルメシアン
・ボクサー

若年性で発症する可能性が高い犬種

・ポーチュギーズ・ウォータードッグ
・トイ・マンチェスター・テリア

犬の拡張型心筋症の診断と治療

診断には、レントゲン、エコー、心電図、血液検査、といった検査は全て必要になります。レントゲンやエコー、心電図は心臓の機能と大きさを知る為には非常に重要で、血液検査によって、すでに心臓の機能低下が全身のどこかに影響が出でいないかを確認します。

治療は診断がついた時点での症状に応じて、必要な内服を飲むことになりますが、生涯に渡り、必要になります。定期的な検査で変化が見られた場合には、内服薬の内容が変わる、量が増える、などが考えられます。

犬の拡張型心筋症のマネージメント

一度、心臓に問題があることがわかった場合には次のことに注意して維持していかなければなりません。

・食餌
明らかに塩分の取りすぎは注意が必要であり、ナトリウム制限がされている療法食を与えることが重要になります。また、躾に使うおやつに関しても注意しなければなりません。獣医師の指示に従って下さい。
・サプリメント
タウリンやカルニチン、オメガ3脂肪酸の補給を検討することもありますが、獣医師の指導が必要です。
・運動
疲れを感じているようであれば、常識範囲内で運動の制限をしましょう。全く運動しないことはストレスにも繋がりますが、必要な時は休ませてあげなければなりません。ワンちゃんは飼い主さんと遊ぶことに必死ですから、しっかり判断をしてあげましょう。

犬の拡張型心筋症に関する注意

心臓の病気は、一歩間違えると非常に危ない状況に陥ります。小さい頃から、この病気になりやすい可能性がある犬種は、常に健康診断がをして飼い主さんが気づかないような変化も獣医師にチェックしてもらいましょう。特にエコー検査は有用で、必ずしも外に見える症状がなくても、小さな心臓の変化が検出される可能性があります。症状が表に出ていない時点での治療は必要としないことが多いですが、病気の存在が確認された場合には、今後、どのような点に注意して観察して行けば良いかが明らかになります。ですから、特に大型犬の4歳前後の飼い主さんは、一年に一度の定期健康診断に血液検査のみではなく、エコーやレントゲン検査を加えてあげることをおすすめします。

また、普段の生活の中で飼い主さんが一番わかりやすい症状の変化の1つに、1分間の呼吸回数があります。安静にしている時にお腹の動きで数えることができるので、たまにチェックしてあげると良いでしょう。明らかに呼吸数が増えている場合には、体調が悪い可能性がありますから、獣医師に相談して下さい。

スポンサードリンク