人間は思春期になると、顔のあちこちにニキビが出来るのは当たり前のように言われています。

そんなニキビが犬にも存在していることは、意外と知られていないかもしれません。

犬も思春期と言われる時期、生後5ヶ月を過ぎた頃から8ヶ月ぐらいまでの時期に、ひょっこり出来て、多くは1歳を過ぎた頃に自然と姿を消してしまいます。このニキビの正体は、慢性的な炎症を主徴とする皮膚病で、発症する場所は顎、マズル(鼻先から口)、唇、に限定しており、毛嚢炎や化膿を繰り返す”癤”(せつ)と呼ばれることもあります。

急を要する命に関わる病気ではない為、症状がかなり進行して、ようやく飼い主さん目につくようになって受診、或いは、ワクチン接種の際にルーチンに行われる健康診断で偶然発見される、という場合が多いです。

一見、単なる一時的な問題として放置しておいても良さそうですが、症状が思いの外悪くなることもあるので注意が必要です。特に口の周りは、ワンちゃんが普段から舐めてしまう場所でもあり、重篤な症例では、潰瘍(皮膚の深い部分まで剥けてしまう)の状態になる場合もあります。

原因は明らかにされていませんが、いくつか説が考えられています。例えば、1つの説によるとホルモンが関係しているということです。これは、若齢犬に多いという点に着目した考え方です。また、多くの専門家は、何らかの外傷があって、そこから細菌感染が始まってニキビになると結論づけています。その他には、好発犬種が存在していることから遺伝的な背景が関係しているという説もありますが、最終的にはどれも”可能性がある”という段階です。

ペンネーム :rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

犬のニキビになりやすい犬種

犬のニキビは若い年齢で、大型で短毛の種類がなりやすいと言われており、例えば、

・ボクサー
・ドーベルマン・ピンシャー
・イングリッシュ・ブルドッグ
・グレート・デン
・ワイマラナー
・マスティフ
・ロットワイラー
・ジャーマン・ショートヘア・ポインター

などが代表的な後発犬種です。

犬のニキビの症状

犬のニキビは、最初は赤紫をした硬い膨らみから始まります。ワンちゃんは、患部に不快感を感じ始めて、自分からいじるようなことをすると、皮膚の表面を傷つけ、二次感染を起こして重篤化します。主な症状は以下の通りです。

・赤く小さなブツブツができる。
・コメド(黒いブツブツ)が見られる。
・感染を起こして膿が出たり、カサブタができる。
・患部を気にしてカーペットや家具の端っこに顔を擦り付ける。
・腫れ上がる。
・重篤な場合には、皮膚が傷つき、触ると痛がる。

痛みを感じ始めた場合は、口元の患部を触ろうとして噛みつかれる、という事故に発展し兼ねません。多くは子犬でも大型犬であることから、飼い主さんは慎重に接する必要があります。

犬のニキビの診断と治療

ニキビの症状は、犬の代表的な皮膚病であるニキビダニ、マラセチア皮膚炎、犬糸状菌症、皮膚アレルギー、といった病気とよく似ている為、必ず、それらを否定する為の皮膚検査が行われます。

診断が下ると、抗生物質を含んだ外用薬による治療が主となりますが、重篤化している場合には、抗生物質の内服薬が必要になります。この治療をしている間は、自宅で自傷(自分から引っ掻いたりして傷つける)がないように、しっかりと観察していなければなりません。

例えば、どこかに顎を擦り付けるようなことができないように、エリザベスカラーなどを装着する必要性も考えられるので、獣医師の指示にしっかりと従って下さい。

犬のニキビに関する注意点

どの皮膚病でも、必ず注意しなければならないのは、痛みやかゆみが出ている際のケアの仕方です。ワンちゃんは、痒みなどの不快感がある場合には、とことんまで患部をいじって、どうにか問題を解決しようとします。症状の一つに挙げたように、どこかに擦り付けるという行為は、飼い主さんが止めなければ、おそらくずっと同じことを繰り返すことになるでしょう。こういった行為を見つけた場合には、直ちに受診して、まずは原因を突き止め、ひどくなる前にやめさせなければなりません。

大型犬の短毛種が好発犬種に挙げられていることから、この種類のワンちゃんを飼う場合には、自分の子がこの病気になる可能性があることを理解して、顎の周辺に赤く吹き出物のような病変部を見つけたら、まずは獣医師に相談してみましょう。軽症であれば簡単な治療で済むことが多く、治療のストレスも少なくて済みます。特に、3回目のワクチンや狂犬病ワクチンが終わって、避妊・去勢手術の時期になるまでの期間や、その後1歳までの期間は、病院に行く機会があまりない為、要注意期間と言えるでしょう。心配であれば、成長期の体重確認や股関節確認などをしがてら、動物病院に立ち寄って、同時に皮膚チェックを行うことをお勧めします。

 

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