スペシフィックというブランド名はご存知の方も非常に多いと思いますが、動物病院でヒルズやロイヤルカナン、エランコ、と同様に必ず療法食を処方する時に登場する選択肢の一つです。
販売会社は Dechra Veterinary Products(イギリス)という会社で、1819年に前身の会社が設立されてから、1854年に今の獣医療の製品を扱うようになりました。現在は国際的にマーケットの幅を広げており、”農業、水産、畜産、の王国”と言われているデンマークの獣医療を取り扱う会社Montaguを買い取って、その製品であるスペシフィックを販売しています。
このブランドの売りは新鮮な原材料(デンマーク産を中心に、冷凍素材を使わない)、合成フレーバー、合成着色料は一切使っていない、オメガ-3が豊富、といった点です。今回、このスペシフィックブランドの療法食のラインの中から、肥満治療に注目してCRD-1(ドライ)と CRW-1(ウェット)について検討してみたいと思います。
rihomeopath
筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。
1目でわかるこの記事の内容!
フードの特徴
肥満と聞いてドキっとする飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、ワンちゃんの肥満は元々寿命が短いだけに、更に寿命を短くしてしまう危険がありますから、早い時期から真剣に治療をしなければなりません。
Body Condition Score (BCS)が5段階のうち、4を超えていたら肥満傾向です。その現実をしっかりと受け止めて体重管理をすぐに始めなければいけない状況です。そんなワンちゃんが食べるのが、この減量専用の療法食 CRD-1(ドライ)と CRW-1(ウェット)です。
獣医師の指示に従って与える物ですから、絶対に飼い主さんの判断で今食べている物からすぐに切り替えることは出来ません。健康を害することがあります。
この2つの療法食の特徴は、以下のようになります。
・低脂肪
・高繊維
・高たんぱく質
・嗜好性
基本的に食いしん坊の成犬のワンちゃんが満腹感を得ながら、これだけ適切量食べて、適切な運動をすれば減量ができる、という非常にシンプルなフードです。また、痩せるといっても骨と皮になる訳ではなく、たんぱく質の割合が高いことで、筋肉が痩せ細ってしまう、というデメリットがないように配慮されています。
L-カルニチンが添加されていることで、益々脂肪を燃焼されることが可能で、痩せてボロボロの被毛にならないように、オメガ-3 フィッシュオイルで皮膚や被毛の健康維持ができます。
成分分析
これらの主成分と成分分析を確認してみましょう。
CRD-1(ドライ)
粗タンパク質 |
29.7% |
リン |
0.73g |
粗脂肪 |
5.6% |
L-カルニチン |
30mg |
粗繊維 |
37.4% |
オメガ–3脂肪酸 |
0.62g |
炭水化物 |
57.6% |
オメガ–3:オメガ–6 |
1:2 |
水分 |
8.5g |
スターチ |
27.8g |
カルシウム |
0.85g |
砂糖 |
1.4g |
ナトリウム |
0.28g |
319kcal/100g
CRW-1(ウェット)
原材料:ポーク、トウモロコシ、セルロースパウダー、コーンスターチ、フィッシュオイル、など。
Water, Pork, Maize / Corn, Cellulose powder, Maize starch, Fish oil,
成分分析
粗タンパク質 |
7.1% |
ナトリウム |
0.07g |
粗脂肪 |
2.0% |
リン |
0.13g |
粗繊維 |
4.0% |
L-カルニチン |
8mg |
炭水化物 |
8.0% |
オメガ–3脂肪酸 |
0.1g |
水分 |
77.7g |
オメガ–3:オメガ–6 |
1:2 |
カルシウム |
0.2g |
スターチ |
4.7g |
78kcal/100g
長所と短所
長所
・マーケットの中心がペットフード規制が厳しいヨーロッパなので安心である。
・療法食であるので、効果は十分期待できる。
・ウェットとドライの両方があることで飽きない。
・ドライフードは粒小麦とオート麦(えん麦)などGI値の低い穀物を使い、高繊維、クロムを含んで食後の高血糖に配慮がされている。
・ウェットは、複合炭水化物と高繊維が食後の急激な血糖値上昇を抑制し、健康な血糖値の維持を行う。
・ドライフードに関しては砂糖によって嗜好性を高めているので、減量フードでも喜んで食べる可能性が高い。
短所
・病院に在庫を置いている所が少なく、他の療法食に比べて入手が多少困難である。
・他社に比べて若干知名度が低く、ホームページの情報も少ない。
・値段が高めである。
スペシフィック CRD-1(ドライ)とCRW-1(ウェット)利用者本音の口コミ
いつも本間アニマルで買ってたんですが、アマゾンが安いので買ってみました
問題無しです
以前CRD2を違うところで買って虫が湧いてたこともあるので他で買うのを躊躇してましたが、リピートします
まだ食べ始めたばかりなので商品価値は分かりませんが、美味しそうに良く食べています。
大袋の方が格安ですが、酸化が気になるので10日に一袋のペースであげています。ロイヤルカナンと迷いましたが、獣医さんの勧めもありこちらにしました。
特に病気もなく元気な子ですが、今後もこの療養食を続けていきたいと思っています。
引用元:アマゾン
女性5
うちのチワワは腎不全で自力での経口摂取が出来ず シリンジに詰めて与えています(^^;
とても柔らかく注入しやすいのでこれ無しでは生きていけません
病院で買うよりお得なので購入しました!
お届けが早いことも助かりました^_^またお願いすると思いますのでよろしくお願い致します(^^)/
引用元:アマゾン
どのような犬におすすめなのか
肥満(BCS5段階で4以上)が問題になっているワンちゃんが、適切な栄養を摂取して減量をする為の療法食です。
しかし、食べると痩せるというものではなく、適度の運動が必要であることと、食べる量はワンちゃんの目標体重と現在の体重によって個体差があります。必ず獣医師の指示を守るようにしましょう。
スペシフィック CRD-1(ドライ)とCRW-1(ウェット)に関する注意
減量は時間をかけてゆっくり行うものですから、半年ぐらいを目安にしましょう。また、いきなりフードを変更することはワンちゃんの体に負担をかけるので、必ず徐々に変更することと、排尿・排便、飲水量などを毎日観察して、問題があれば獣医師に相談して下さい。肥満のワンちゃんは常に糖尿病などの発症リスクがありますから、少し太り気味と感じたら、早速体重を測って体重管理を始めましょう。