まず一番最初に考えなければいけないことは、1日に何回給餌するかということです。子犬の時はご飯の間隔が空きすぎて低血糖になってしまうと困るので、1日の回数が非常に多く、毎回様子を見ながら、量も1回に沢山食べることはできないので、慎重に与えることになります。成長とともに回数は減らして行きますが、この成長期には、飼い主さんのご飯のタイミングよりも、低血糖にならない程度のタイミングで与えることが必要です。

犬のごはんのタイミング

生後半年以上経過して、丁度避妊・去勢も済んだ頃のワンちゃんに関しては、成長速度も活発度も小さな子犬の頃よりは落ち着いて来ているので、回数は2−3回程度(大型犬は基本的に2回以上に分ける)となるでしょう。これが、朝晩や朝昼晩のタイミングで与えるようになるとすれば、さて、”人より先、後、どちらが良いか?”という疑問が浮上して来ます。

先に答えを言えば、特に先も後も関係ありません。例えばプロのトレーナーのワンちゃん達は、しっかり教育されているので、飼い主さんが食べていようが、何をしていようが、決まった時間にご飯を貰えることを知っているので、どんなことが起きていても飼い主さんの言うことを聞いて、大人しく待っています。そして、それが本来のワンちゃんと飼い主さんの関係、主従関係というものです。

犬のごはんと犬の生態

殆どの人は犬の先祖は狼であるから、狼のように考えるべきであると思うかもしれません。狼は群れのリーダーがいて、リーダーが一番最初に獲物を食べてから下のランクの狼が食べる、というイメージが定着しているので、ご主人である飼い主さんの後に食べることが適切である、となるでしょう。

しかし、犬は飼い主さんの言うことを聞くのが当たり前で、飼い主さんをリスペクトしているはずです。ですから、飼い主さんがいつご飯を食べようと、関係ありません。毎日同じ時間に、生物時計のルールを変えずに与えることが重要です。空腹時間が長いと胃液を吐いたり、急いで食べてすぐに吐き戻したり、大型犬では、ガツガツと食べた結果、胃拡張・胃捻転症候群という病気を発症することがあります。肝心なのは、ワンちゃん達が落ち着いてゆっくり食べるように躾するということです。

人間が毎日夜8時に夕食を食べることにしていたとしても、たまたま、帰宅が遅くなって、夜中の12時になってしまい、寝る前には食べられない、といった状況もあります。とりあえず、先に散歩には行くけれど、自分がご飯を食べないとワンちゃんにご飯を与えてはいけないと決めていたら、どうでしょう?これは非現実的です。こんな時は自動給餌器を利用して決められた時間にご飯を与えるか、帰宅してから”ごめんね”と言いながら食べさせるしかありません。

ワンちゃんとの主従関係は、ご飯を食べる順番ではありません。既に主従関係が出来上がっていれば、順番は全く関係ないのです。

犬のごはんと飼い主さんのごはんの盗み食い

主従関係が形成しきれていない場合、飼い主さんが頭を悩ませるのは、人間がご飯を食べている時にワンちゃんがやって来て、盗み食いをすることだと思います。

人間の食べ物は絶対に与えてはいけませんから、どんなことがあっても盗まれてはいけないわけです。

しかし、多くのワンちゃんはご飯を食べている横にやって来て、お願いポーズをします。そして、驚くほど多くの飼い主さんが根負けをして何かを与えてしまいます。これは最悪な習慣です。一度与えてしまうと、絶対にまた貰えると学習してしまうので、どんなにお願いをされても、絶対に無視をしなければなりません。アイコンタクトさえ取らずに無視です。それこそが、主従関係のあり方で、お願いされて応えてしまっては、既に主従関係が崩れています。

また、飼い主さんの”言い訳”は、’おばあちゃんがあげちゃうのよ”や”子供があげちゃったの”という決まり文句です。これは、獣医師にとって一番聞きたくない言い訳です。

何故なら、例えば療法食を与えるように指示しているワンちゃんに、”おばあちゃんがあげちゃった”人間の食べ物は毒物でしかありません。当然、ワンちゃんの容体は悪くなってしまいます。ご家族の方にも協力をしてもらわなければ、ワンちゃんも混乱してしまいます。

このように、主従関係が成り立っている場合には、ワンちゃんのご飯のタイミングは飼い主さんのご飯のタイミングとは関係なく、主従関係が成り立っていない場合には、まずはそれを成り立たせるための訓練をしなければいけません。なるべく早い時期から、”待て”と’よし”を始めましょう。

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rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

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