純白の被毛が美しいマルチーズ。日本では身近な犬種の1つですが、その歴史は長く、ヨーロッパの小型犬ではもっとも古い犬種といわれています。
今回はそんな古い歴史をもつ、マルチーズについてご紹介します。

マルチーズってどんな犬?


マルチーズは地中海のマルタ島が原産で、紀元前500年に誕生したといわれています。その長い歴史からマルタの古代犬と呼ばれ、当時とほぼ変わらない姿で現在に至っています。
古代ギリシャやローマの上流階級の人々に愛されたマルチーズは、やがてヨーロッパに渡るとフランスの貴族たちからも可愛がられるようになりました。
マルタ島がイギリス領土になった後はビクトリア女王の寵愛を受け、その後アメリカでも人気を博し、日本では1970年代後半から人気犬種の仲間入りを果たしました。
体高は25cm、体重は2~3kg程度で、愛玩犬として分類されていますが、ネズミ捕りで活躍していたこともあるそうです。
可憐な姿と活発さから「愛玩犬の王者」といわれるほど、たくさんの魅力が詰まった犬種です。

マルチーズの性格

マルチーズは活発で利口な性格をしています。人なつこい反面、警戒心が強いところもありますが、無駄吠えは少ない方です。ただし環境に慣れていないと吠えだすこともあるので、子犬の時からしつけは必要です。
また、長い間愛玩犬として可愛がられてきたため、飼い主に対して愛情深くとても甘えん坊です。明るくはつらつとした姿は見るものを飽きさせません。

マルチーズの毛質、毛色

マルチーズは光沢のある絹糸状の毛並みをしています。フルコートになると、全身が毛に覆われるほどの長毛です。他の長毛種と違い、シングルコートなので抜け毛が少ないのが特徴。
毛色は純白のイメージが強いですが、まれに淡いレモン色やタンの入った個体もあります。しかし現在ではスタンダードに沿った純白のマルチーズがほとんどです。

マルチーズの魅力


真っ白な被毛と目鼻の黒のコントラストが美しいマルチーズ。エレガントな容姿をしていても、性格は活動的で表情も豊かです。

いろいろなスタイルを楽しめる

マルチーズは生後約1年で、床に届く毛の長さになります。これをフルコートといい、ドッグショーに参加するマルチーズはすべてフルコートスタイルです。マルチーズの持つ美しさを際立たせる定番のスタイルではありますが、その分丁寧なお手入れが必要になります。
今は被毛を短く切り揃える飼い主が多いようですが、カットの仕方によっていかようにも変身できるのがマルチーズの醍醐味です。
リボンをつけたりカラーリングをしたりと、幅広くオシャレを楽しむことができます。

繊細な被毛…だけどお手入れは簡単

さまざまなスタイルを楽しめる被毛ですが、シルクのように繊細な毛質のため、こまめなブラッシングが必要です。
しかしシングルコートなので抜け毛が少なく、蒸れにくいために、体臭が少ないというメリットもあります。
ブラッシングもコミュニケーションの一環として行えば、面倒だと感じることはありません。手をかければかけるほど被毛の美しさは保たれますので、愛犬に尽くすタイプの方にはぴったりの犬種です。

か弱そうに見えても大胆不敵

「マルチーズって小さいし、何だか体が弱そう…」と思っていませんか?確かに体は小さいですが、実際は運動や遊びが大好きなアクティブ派です。
散歩の目安は1日30分ほど。晴れた日にはドッグランで思い切り遊ばせるのもストレス解消になります。ボール遊びなどを取り入れれば、お互いの絆を深めることもできますよ。

マルチーズの価格


マルチーズの価格はだいたい15~30万円が相場となっています。
チャンピオン家系の子犬や子を産むメスは値段が高くなる傾向にあります。ペットショップやブリーダーなどの入手先によっても値段が変わりますが、子犬を選ぶ上で最も重要なのは値段ではなく、健康な子犬であるかどうかです。
マルチーズの寿命は14~15年ほどです。長い付き合いになる犬ですから、子犬選びは慎重に行いましょう。

マルチーズがかかりやすい病気

マルチーズは比較的丈夫な犬種とされていますが、身体的な特徴によって気をつけなければならない病気がいくつか存在します。
どんな病気になる可能性があるのか、事前に知っておくことで早期発見に繋がります。

膝蓋骨脱臼

後ろ足の膝蓋骨が正常な位置からずれ、歩行困難になる状態です。
軽症ではほとんど変化がありませんが、放置しておくと悪化して、重症になることがあります。
先天性のものが多いですが、骨折や怪我などが原因で起こる場合もあるので、高いところには上がらせないようにするなど注意が必要です。
足を引きずっていたり、前足だけで歩いていたりする様子が見られたら、動物病院で診てもらいましょう。

関連記事:肢を挙げる癖のある小型犬は特に注意!犬の膝蓋骨脱臼(パテラ)について解説

水頭症

脳の内部にある脳室に脳脊髄液がたまり、脳神経が圧迫されることで起こる病気です。圧迫される神経によって現れる症状が異なります。
遺伝的な要因が強いとされていますが、事故や怪我などで頭部に影響が及んだ場合にも発症することがあります。
頭をしきりに壁におしつけたり、ふらふらと歩き回ったりするなど、いつもと違った様子が見られたら要注意です。

外耳炎(耳疥癬症)

真菌や細菌の感染、耳ダニの寄生やアレルギーなどによって、外耳道が炎症を起こします。
悪臭を伴う耳垢がみられたり、しきりに耳を痒がっていたら、外耳炎の可能性があります。
マルチーズのような垂れ耳の犬は耳が汚れやすいので、こまめな耳掃除が予防になります。

関連記事:たれ耳の犬はなりやすいので注意!トイプードルと外耳炎の関係

皮膚病

ノミやダニなどの外部寄生虫やアトピーなどが原因で、皮膚に湿疹や痒みなどの症状が現れます。
定期的にノミダニの駆虫薬を行い、皮膚に異常がないかチェックしてください。ブラッシングを日課にしていれば、皮膚や被毛の変化に気づきやすくなります。

関連:日頃のケアが大切!犬の皮膚病の原因と症状、予防について

白内障

目の水晶体が白く濁って視力低下を起こす病気です。症状が悪化すると失明する場合もありますが、犬は嗅覚と聴覚が優れているので、生活に支障をきたすことは少ないようです。
ただし、犬が誤って物にぶつからないよう、飼育環境を改善してあげる必要があります。
現在は人工レンズを入れる手術もありますが、どのように治療を行っていくかは獣医師と相談して決めましょう。

関連:早めの対策が重要!失明の危険性がある犬の白内障について獣医が徹底解説

流涙症

涙が原因で目の周りが茶色く変色します。マルチーズの毛は白いために、変色部分が目立ってしまうのが厄介です。
涙が多く出るのは、目の周りの毛が眼球を刺激することで起こる結膜炎や、鼻涙管が詰まって鼻から涙が排泄されないといった理由が考えられます。
飼い主としてできる対策は、目の周りの毛をカットし、涙が出ていたらガーゼで拭き取るなどのお手入れが中心になります。

関連:犬の涙 〜悲しいんじゃないんです〜流涙症について解説!

その他

咳が長く続く場合、ケンネルコフやフィラリア症などの伝染病や、ぜんそく、気管支炎などが考えられます。
咳がなかなか止まないなと感じたら、他に変わったところがないか確認してください。熱があったり、食欲がないようであれば病気を疑い、獣医師に診てもらいましょう。
また、肥満も病気の原因になります。
マルチーズの理想体重は3.2kg以下とされているので、それを上回る場合はダイエットが必要です。

マルチーズを飼う上での注意点


新しく犬を飼う前には、その犬種について十分に理解しておく必要があります。後々になって「そんなこと知らなかった」という結果にならないよう、あらかじめマルチーズの情報を集めておきましょう。

グルーミングとトリミング

マルチーズのきれいな被毛を保つためには、こまめなお手入れが欠かせません。
フルコートの場合はピンブラシとコームを使ってとかし、サマーカットのように短い毛は柔らかめのピンブラシでブラッシングをします。
ブラッシングをする時には、被毛をかきわけて皮膚の状態をチェックしましょう。
毎日ブラッシングをしていても、散歩などで被毛の汚れが目立ってくる時がありますので、2週間に1度の頻度でシャンプーができるとベストです。
その他、飼い主のお手入れとしてむだ毛のカットがあります。
お尻や顔周り、足裏、足先をトリミング用のハサミでカットして、清潔に保ちます。ただしどうしても自信がなかったり、上手くできない時は無理をせず、ペットサロンに頼むことも検討しましょう。

マルチーズは寒さに弱い

マルチーズはシングルコートなので暑さはそこまで苦手ではありませんが、冬の寒さには弱いです。環境の温度差が激しいと毛の伸びが悪くなるため、室温は22~25℃を保つようにします。
寒い中を散歩するのは犬も大変ですので、必要に応じてウェアを着せても良いでしょう。
また、空気が乾燥する季節になると静電気が起こりやすいので、ロングコートにしている場合は静電気防止スプレーをかけてブラッシングをすれば、毛切れを防げます。

まとめ

「純白の天使」「可憐な妖精」などなど、マルチーズを賛美する声は多く、今でも需要の多い犬種です。
被毛の長さによってがらりと外見が変わり、さまざまなオシャレを楽しむことができるマルチーズは、きっと自慢の愛犬になるのではないでしょうか。
被毛のお手入れが手間だと感じるかもしれませんが、手をかけた分だけマルチーズの魅力は引き立ちますよ!

筆者紹介:坂井愛
小さい頃から動物を飼育し、現在も動物関係の仕事に携わっています。また学生時代に培った動物の飼育、看護、福祉などの知識を活かした記事を書いていきたいと思っています。

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