人間の高齢者で、腰が痛くてあまり体が動かせない、といった方が周りにいたり、40歳以上の飼い主さんでそんな問題を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。実は高齢のワンちゃんも腰の痛みで動きたがらない、ということは起こり得る現象です。

人間もワンちゃんも高齢になると、何かしらの老化現象が出てきますが、この変形性脊椎症も老化現象の1つです。この病気から来る症状を放置しておくと、やがて生活をして行く上でのQOL(Quolity of Life 生活の質)が低下する為、なるべく早めに治療を始めることが必要です。

脊椎は背中の骨ですが、これは椎骨という一個一個の単位が重なってできています。歳を重ねて行く内に、老化現象で椎骨の隙間にあるクッションである椎間板が潰れて来ます。潰れて来ると、椎骨と椎骨はぶつかり合います。ぶつかって摩擦が起きると、椎骨と椎骨の間に棘のような骨が出来てきます。この棘は、やがて椎骨と椎骨を繋げたような状態(ブリッジ)になり、結局は体の動きが鈍くなり、動かす度に痛みが出たり、痺れや麻痺の原因にもなります。

大型犬は小型犬よりも問題が出やすいと言われてはいますが、どんなワンちゃんもこの病気になる可能性があります。症状の度合いは個体により異なりますが、大抵10歳になるまでに何らかの変化が現れています。また、原因は老化現象だけでなく、例えば、栄養状態が悪い、普段から非常に背中に負担のかかるような運動をさせていたり、逆に運動不足だったり、事故にあったり、遺伝的な問題も考えられます。

犬の変形性脊椎症の症状

病気の進行具合により、症状の幅があるのは明らかですが、場合によっては症状らしいものは全く出て来ずに、一生、痛みとは無縁であることもあります。一方、出来始めた骨の棘が次第に神経を刺激して、痛みを感じることもあります。以下に、主な症状を挙げてみます。

・全身のこわばり(動きのしなやかさ、柔らかさがあまり感じられなくなります。)
・びっこ(刺激する神経によっては、肢に不快感や痛みを感じてびっこになります。)
・ある一定の動きしかしない、或いは動こうとしない(痛みを避ける動きをします。)
・触られることを嫌がる(痛みが出ると、自然と抱っこや触られることを避けます。)

犬の変形性脊椎症の診断と治療

おそらく歩き方がおかしい、背中か腰のどこかに痛みがあるのであろう、ということを主訴に受診されることが殆どだと思いますが、何か別の病気で受診して、レントゲンを必要としていたから撮影してみたら、実はこの病気が始まっていた、ということもあります。

残念ながら、この病気は特効薬があってすぐに治る、といったものではなく、一度この状態になると元に戻ることができません。

治療の目標は問題になっている痛みを内服薬などで取り除いて、生活しやすい状況を作ってあげることです。肥満であれば、体重を減らしたり、段差のない環境を整えましょう。痛みがあると運動ができないので、安静を保つ必要がありますが、落ち着いたら獣医師の指示に従って少しずつ軽い運動を始めましょう。非常に重症な場合には、外科手術が必要になることもあります。
また、検査はレントゲンだけでなく、CTや MRIの検査によって神経の圧迫部位の確認を必要とする場合もあり、その際は全身麻酔をすることを頭に入れておいて下さい。

犬の変形性脊椎症の予防

老化現象は予防できないと思われがちですが、早い時期に気づいて、早めの対処や治療を行うことで、病気の進行を遅らせることは不可能ではありません。例えば、年齢が7、8歳を超えた頃から、毎年全身の健康診断を行い、必ず胸部と腰部のレントゲンを取り入れてもらい、脊椎の調子がどうであるかを確認してもらうことは、非常に有用です。
現在は、高齢犬の為のサプリメントも多く出ており、関節を強くするようなグルコサミンなどを含むものを早い時期から与えることで、足腰を強くすることが期待できますから、獣医師の指導の下に使用するのもよいでしょう。
また、どんな場合も絶対に肥満は禁物です。太り過ぎは短命の特効薬ですから、常に理想体重を維持しましょう。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

病気になる前にドッグフードをチェック!!

スポンサードリンク

いいねするだけ!フェイスブックで最新記事をお届け

無料メルマガ配信中