この病気は先天性で、早いワンちゃんでは生後半年程度で症状が出る可能性があり、ブルドッグやパグ、ボクサー、といった鼻先が短く潰れたタイプの顔をしている犬種(短頭種と言います)に多い病気で、短頭種気道症候群(以下を参考にして下さい)の症状の1つに挙げられます。

軟口蓋とは、あまり聞きなれないかもしれませんが、口の上側の喉に近い部分にあります。口の”天井”(硬口蓋)の延長上(喉の奥方向)の柔らかい粘膜組織です。人間であれば、喉の奥に垂れ下がっている口蓋垂の辺りと言えるでしょう。食べ物を飲み込む時にはこれが閉まり、鼻の方へ食物が逆流しないようになります。

この軟口蓋が生まれつき長すぎる場合を軟口蓋過長症と言って、空気の通り道を邪魔します。例えば呼吸をする時に、”ゼイゼイ”音がしたりなどの不具合が出てきます。音が出るだけであると思いがちですが、実は、呼吸は楽ではありません。

参考)短頭種気道症候群:短頭種に多い鼻孔狭窄症(鼻の穴が狭い)、軟口蓋過長症、気管低形成(気管が体の大きさに対して十分に形成されていない)、といった解剖学的な異常をまとめて短頭種気道症候群と呼びます。この異常により、呼吸の問題が重篤になりやすい(更に二次的な弊害が出る可能性が高い)点が短頭種の特徴でもあります。

犬の軟口蓋過長症の症状

散歩している短頭種のワンちゃんで、ゼイゼイしながら、舌を出している子を見かけたことがあるかもしれません。これは典型的な姿ですが、主な症状を紹介します。

・呼吸困難になりやすい。
気道が狭くなりますから、十分に空気が入らないので呼吸は辛くなります。

・いびきをかく。
軟口蓋が震えることで、音が出ます。

・呼吸音が非常にうるさい。
普段の呼吸でも、軟口蓋が音を出す原因になります。

・鼻息が荒い。
呼吸が激しくなることと、鼻の穴が狭いことが考えられます。

・咳をすることが多い。
呼吸の圧力が常にかかって、喉は炎症を起こしやすくなります。

・喉に物を詰まらせたり嘔吐する。
軟口蓋が邪魔をするので、飲み込みづらいことがあります。

・口の中の粘膜の色が紫になる。(チアノーゼ)
呼吸がうまくできない為、酸素が体を回りにくい状態になります。

・運動不耐性(運動を嫌う、すぐに疲れてやめてしまう)。
呼吸が常に苦しい為、更に呼吸に負担をかけるような運動は嫌がることがあります。

これらの症状を放置しておくと、二次的な問題(例えば、心臓への負担や、喉の炎症や浮腫など)が出て来ることがあるので、直ちに獣医師に相談する必要があります。
また、以下の条件は症状を更に悪くする可能性がある為、飼い主さんは常に注意をしなければなりません。

・高温多湿の環境
特に日本では夏が一番危険な季節です。正常な人間でも、少し歩いただけで体温が上がり、呼吸が速くなりますが、この問題があるワンちゃんにとっては、更に辛い時期と言えます。この時期の対策は慎重に行う必要があります。

・肥満
人間でも肥満することで、いびきをかきやすくなると言いますが、それはワンちゃんでも同じことが言えます。首の周りに脂肪がついて気道を狭くしてしまう為、呼吸することが益々辛くなります。どんな病気に対しても肥満は注意しなければなりませんが、この病気に関しては、命に関わる状況が切迫しているので、今すぐにでも痩せる努力を始めなければなりません。

・興奮
興奮すると呼吸が速くなりますから、呼吸困難に陥りやすいので、普段から興奮させないように訓練する必要があります。

・無理な運動
元々、呼吸が苦しくなることで運動を嫌うと思いますが、無理にさせることも控えなければなりません。しかし、運動不足で肥満にならないようにすることも、忘れてはいけません。

犬の軟口蓋過長症の治療

外科的に軟口蓋を切除します。多くの場合は予後良好ですが、同時に気管虚脱などを発症している場合には、術後も注意が必要になります。また、年齢と共に症状は複雑化するので、なるべく早い時点での手術をおすすめします。

犬の軟口蓋過長症の注意点

短頭種を飼い始めたら、まずは呼吸の状態を細かくチェックしましょう。ゼエゼエしているような音が聞こえたら、何かの病気ではないのか?と疑う姿勢が大事です。いびきをかくことに関しても、人間と同様に、それは異常ではないのか?と気にすることが早期問題解決に繋がります。また、この軟口蓋過長症だけではなく、他の問題(鼻孔狭窄など)が絡んでいる場合には、尚更、早い段階で獣医師に相談をして、それが異常であることを認識し、ワンちゃんが実は非常に苦しい状態で、最悪な場合は亡くなってしまう危険があることを把握しなければなりません。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

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