実はわかっているようでわかっていないのが混合ワクチンと狂犬病ワクチンの違いです。今更とは思いますが、おさらいをしてみましょう。

まず、狂犬病ワクチンは1種類の狂犬病という、人間にも感染する怖い病気で、死亡率が高い(ほぼ100%)感染症を予防するワクチンで、国の法律で義務付けられています。犬を飼育し始めたら、必ず接種して登録も行わなければなりません。これは国際社会の一員である日本国の住人である以上、法律を守る義務があり、国際社会の公衆衛生問題の観点からも迷惑をかけるので注意しなければなりません。

一方、混合ワクチンは1種類の病気ではなく、いくつかの種類の病気の予防をすることができますしかし、これは国の義務ではなく、飼い主さんの意思で決めるものですから、実際にワンちゃんがどういった行動をとるかにより、ワクチンの種類も考える必要があります。

例えば、混合ワクチンを接種しないと決めた場合、このワンちゃんが、表面には感染した症状が出ない病気にかかって、あちこちにウイルスをばらまいて歩いていたら、他のワンちゃんに迷惑をかけるというモラルの問題が出てきます。また、逆にウイルスをばらまかれていても、ワクチンで防げる種類のウイルス感染症であれば、ワクチン接種しているワンちゃんは、予防ができます。

犬の混合ワクチン6種と8種の違いとは

混合ワクチンで多く接種されているのは、6種や8種だと思いますが、この違いは、予防する病気の種類が6種類か8種類か、ということです。

・8種ワクチンの予防できる病気
6種ワクチンに以下の二つが加わります。
⑦レプトスピラ・カニコーラ
⑧レプトスピラ・イクテロヘモラジー

注意)ワクチンを製造している会社によって、多少中身に差がありますが、殆どの場合、6種はほぼ同じで、それにレプトスピラ感染症の原因となる異なった血清型2タイプを加えています。

関連:人畜共通感染症!対策必須の犬のレプトスピラ症について解説

犬の混合ワクチン6種と8種、どちらがおすすめ?

混合ワクチンの種類が多ければ、沢山の病気が防げるので多い物にしよう、と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっと待って下さい。ワクチンは単純な注射ではありません。ワクチンは病気予防に便利ではありますが、注射を受ける体は、ワクチンという無毒化(或いは弱毒化)された病原体が入って来たことで、フル稼働して病原体に合わせた抗体(病原体と戦うタンパク質)を生産することになります。これは人工的に”ちょっと感染した”状態を作るわけですから、非常にストレスになるのです。その為、慎重に種類を検討する必要があります。以下に混合ワクチン種類選びのポイントを挙げます。

・ワンちゃんの生活環境:山や川などの自然が少ない、ネズミとの接触はない、他のワンちゃんと接触しない、などであれば、6種でも十分です。
・ワンちゃんの年齢と体調:高齢犬や慢性の病気で体調が好ましくない場合には、ワクチンを見合わせたりする必要があるかもしれません。
・値段:正直、値段は他の予防に回せる費用も考えて検討しなければなりません。
・ワクチンの副反応:ワクチンにより体調が悪くなるワンちゃんも存在しますから、そういった”万が一”のリスクもよく理解しましょう。

どんな場合も例外があります。必ず、接種する時には獣医師の説明をもう一度よく聞いて下さい。東京では都内と都下の奥多摩でも環境条件が違いますし、北海道、東北、関西、九州、沖縄、日本は縦に長いです。今後、ワンちゃんと移動する可能性もじっくり検討しなければなりません。つまり、個々の条件に合わせた個別対応でしかワクチン選びはできないのです。

各種混合ワクチンの違い

混合ワクチンの種類が沢山あって、引っ越した先の病院では前と同じではなかった、そんな経験がある方もいらっしゃるでしょう。しかし、中身が同じであったり、”ほぼ”同じであれば問題がないと説明を受けて接種することもあるかもしれません。
感染症が命を奪う可能性があり、全てのワンちゃん達が接種すべきとされるワクチンをコアワクチンと呼び、それ以外、個々の生活環境などで接種すべきワクチンをノンコアワクチンと呼びます。

・コアワクチン:犬パルボウイルス、犬アデノウイルスI型(伝染性肝炎)、犬ジステンパー、狂犬病
・ノンコアワクチン:上記以外

つまり、これらを見ると、コアワクチンに含まれる病気がカバーされているワクチンは絶対必要と考えることが妥当です。
現在動物病院で扱われているワクチンの種類は、大抵、5種以上となっていまので、5種から説明していきます。

・5種ワクチン
①犬ジステンパー
②犬伝染性肝炎(犬アデノウイルスⅠ型)
③犬アデノウイルスII型(犬伝染性喉頭鼻気管炎)
④犬パラインフエンザ
⑤犬パルボウイルス
・6種ワクチン(既出)
・7種ワクチン
5種ワクチンにレプトスピラ2種(レプトスピラ・イクテロヘモラジー、レプトスピラ・カニコーラ)が加わる。(メーカーで変わる可能性あり)
・8種ワクチン(既出)
・9種ワクチン以降
レプトスピラ感染症の種類が加わって行きます。

犬の混合ワクチンの注意点

ワクチンをしていても予防が100%でないことを十分理解して、普段の生活でむやみに他のワンちゃんが沢山集まる場所や、山、川、などには遊びに行かないことと、犬の関連施設はワクチン証明書を必要とする場所が多いので、必ず証明書を携帯しましょう。証明書を必要としていない場所(例えばペットホテル、サロン)は、逆に衛生状態を疑った方が良いでしょう。
また、ワクチンをする前後はシャンプーや運動は絶対に控えて、できれば午前中に接種して下さい。シャンプーや運動は体調が悪くなる原因の一つであり、ワクチン前の健康診断では、被毛などは普段の状態を知る必要があるので、シャンプーで綺麗になっていては意味がありません。”いつもの自然体”が重要です。
当日は時間に余裕を持って来院しましょう(予約制の場合は、朝の早い時間に取りましょう)。午前中の最後などに慌てて駆け込むなどは絶対にやってはいけません。ワクチン前の検温で体温が39.5℃を超えるとワクチンはできませんから、場合によっては、冷やして待つか、出直しすることになります。これは、ワンちゃんの体調を気遣ってのことですから、慌てずに体温が下がるのを待ってみましょう。
終わったら、必ずゆっくりと家で休ませて下さい。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

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