角膜潰瘍はわんちゃんの眼の病気の中でも比較的よく見られます。室内で飼うわんちゃんが増えて、オーナーさまも眼の状態変化に早く気付くことができるため、早期に治療に入れることが多いです。角膜潰瘍は、傷を負ってからいかに早く治療に入れるのか、で予後が大きく違います。
今回は角膜潰瘍についてです。角膜に傷を負ってしまった場合に綺麗な眼を保つためにはどうしたらよいのかを考えたいと思います。

角膜の役割と構造

角膜は目の一番表面に位置している透明の組織です。わんちゃんの組織の中で、綺麗な澄んだ透明な組織は唯一、角膜です。角膜がなぜ透明なのか、その理由は角膜の役割が関係しています。角膜の役割というは、光を眼の中に入れてあげることです。もし、何らかの原因で角膜が濁って光が眼の奥まで届かないと、眼で見た物の情報が脳に伝わらなくて物が見えない、ということになってしまいます。

角膜は5層構造をしています。最も表層には角膜上皮があります。角膜上皮はとても新陳代謝が盛んで、古い細胞がどんどん脱落し、新しい細胞がどんどん作られています。また、角膜上皮には神経も走っています。この神経は指先や歯の何百倍もの密度で存在すると言われています。つまり、痛みに関して、指先や歯の何百倍も敏感なんです。指先の傷や虫歯の痛みってかなり強いですよね。それの何百倍もの痛み…少し傷がついただけでもかなりの痛みです。
角膜の中身、実質は角膜上皮の下に存在します。主にコラーゲンでできていて、角膜の透明性を保つ中心となります。細胞が少ないため、傷が付くと治りにくく、角膜実質まで届くような深い傷は角膜にとってとても危険なことです。

角膜潰瘍ってどんな病気?

角膜潰瘍とは、何らかの原因で角膜の組織が表面から欠けてしまう病気です。人ではコンタクトの装着や、細菌、ウイルスの感染などがその原因となる事が多いですが、わんちゃんでは外傷性のものが最も多く、外傷性の角膜潰瘍は珍しい病気ではありません。

外傷性の角膜潰瘍の原因

外傷性の角膜炎は、平たく言うと「目のキズ」です。わんちゃんで眼に傷を作ってしまう原因で多いのが、トリミングやシャンプーです。超小型犬や小型犬を飼われている方が増え、トリミングに連れて行ったり、ご自宅でシャンプーをする機会が増えたと思います。
トリミングやシャンプーって意外と眼を傷つけてしまうんです。例えば、眼にシャンプーが入ってしまい、その後に気になって自分でこすって傷をつけてしまう、とか、洗い終わってタオルで拭いている時にタオルでこすってしまう、などです。
また、睫毛の生え方や眼瞼に異常があり、常に角膜に触れている、なども角膜の傷の原因になります。
チワワ、シー・ズー、パグ、ペキニーズなどの短頭種では、解剖学的にも目の露出が大きいため眼が傷つきやすい頭部の構造をしています。これらの犬種ではトリミングやシャンプー時はもちろんですが、日常生活でも注意が必要ですね。例えば、お散歩で草むらに入って傷つける、お家で布団に潜った時に傷つける、など思いもよらない所に危険が潜んでいます。

角膜潰瘍の症状

では、目に傷がついたらどのような症状が出るのでしょうか。浅い傷と深い傷では若干症状も異なるので、それぞれについてご紹介します。

浅い傷の場合

⚫︎涙の量が増える
⚫︎充血している
⚫︎眼をしょぼしょぼしている、眼が開かない
⚫︎目やにが増える

角膜の表層には神経が走行しているので浅い傷ほど痛みが強いんです。痛みが原因で上記のような症状が出ます。

深い傷の場合

⚫︎角膜が白く濁る
⚫︎特殊な検査をしなくても角膜の傷(凹み)が目に見えて分かる
⚫︎充血している
⚫︎涙が増える
⚫︎目やにが増える

角膜の深層に達する深い傷では表層的な傷ほど痛みは強くないですが、強い炎症が起きて、角膜の表層部がむくみ、白く濁って見えます。

角膜潰瘍の治療

角膜潰瘍は治るのでしょうか?
次に角膜潰瘍の治療についてお話ししていきたいと思います。
人では、眼帯という便利なものがあり、眼を瞑った状態で我慢ができますが、わんちゃんではそうもいきません。そのため、角膜潰瘍の治療は目薬が中心となります。角膜の再生を助けてくれる点眼薬と、二次感染をコントロールするために、抗生物質を使うことが多いです。また、自分の血液の成分を取り出して、点眼薬として使うこともあります。
傷が深い、点眼薬でうまく傷が治らないなどの場合には、手術が必要になることもあります。
傷をつけてしまったら出来るだけ早くに治療に入ることが透明な角膜を取り戻すためには必要です。もし、傷の治癒が長引きけば、体が何とか傷を埋めようと反応します。すると、瘢痕組織という傷を埋めるためだけの組織が作られてしまうので、元通りの透明な角膜が保てなくなります。つまり、視力にも影響が出てきてしまうんですね。
また、とてもひどい傷であったり、治療に入るのが遅れると、最悪の場合には失明してしまうこともあります。

角膜潰瘍を予防しよう

トリミングやシャンプーをしないわけにもいかないので、もし傷をつけてしまったら、最初の傷をひどくしないことが大切です。表面の傷ほど痛みが強く、わんちゃんも苦痛です。そのため、気にしてさらに自分で傷をつけて傷を深いものにしてしまいます。それを予防しましょう。
トリミングやシャンプーの後には、仕上がりも大切ですが、眼に変わった様子がないか眼のチェックも忘れずにしてあげてください。もし、傷が疑われる時には、できるだけ早く動物病院へお連れください。もし、すぐに病院へ行かれない時にはカラーを装着するなど、これ以上眼の傷をひどくしない工夫が必要です。
お散歩で草むらに入ってしまう場合には、お散歩コースの見直しをするのもよいですね。草が茂っているのを見れば臭いを嗅ぎたくなってしまうものです。急に草むらを禁止!としてしまうとわんちゃんもストレスを感じてしまうかもしれません。草むらを通らないコースを探してみてください。

さいごに

読者の皆様の中にも、愛犬をトリミングやシャンプーに連れて行かれる方もみえると思います。もし、眼に傷がついてしまったら、愛犬も苦痛です。綺麗な眼を取り戻すためにも、できるだけ早く獣医さんに診てもらうようにしてくださいね。

(uw25rescueccnu)
育児をしながら動物病院に勤務中、その傍でペットについて正しい知識を持ってもらいたいという思いから、執筆も手がけています。

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