人間でも、眼科の病気と言えば白内障はよく耳にすると思いますが、実際の病気の正体はご存知でしょうか?

ワンちゃんでも発症することのあるこの病気は、目の水晶体の一部が、あるいは全部が濁る状態です。水晶体は、水とタンパク質でできており、カメラのレンズのように外から入って来た光を屈折させて、網膜という視細胞がある場所に像を写す透明な組織です。つまり、簡単に言えば、カメラのレンズが曇るのような状態と言えるでしょう。原因は、水晶体を構成しているタンパク質が変性することにより、症状は、一部が濁ったのみであれば、あまりよく見えない程度ですが、進行して全体が濁った場合は、全く見えなくなります(成熟白内障)。更に進行すると、水分が抜けて水晶体は縮んで行きます。成熟白内障からこの状態までの進行度は、何ヶ月か、あるいは何年か、個体差があります。

発症する年齢は 7歳から 15歳ぐらいと言われており、高齢になると注意が必要ですが、若年性(生後2、3ヶ月から 6歳以前に発症)や、生まれつきの先天性もあります。また、発症しやすい犬種も確認されており、ビションフリーゼ、ボストンテリア、プードル(トイ、ミニチュア、スタンダード)、アメリカンコッカースパニエル、ミニチュアシュナウザー、などが挙げられます。

二次的に発症する例としては、糖尿病の合併症、低カルシウム血症、網膜剥離、栄養障害、外傷、などがあります。

犬の白内障の治療法

白内障の治療法は、現在のところ特効薬がありません。内科的にできることは、初期の段階では進行を遅らせるための点眼薬などを使い、また糖尿病などの合併症で発症している場合には、そちらの治療もしっかりと管理して行かなければなりません。全く治療せずにいると、最終的にはぶどう膜炎(以下を参照)や緑内障などの病気に発展して行くことがありますから、一度白内障と診断された場合には、必ず定期検診を受けながら、今後の進行度をモニターしなければなりません。

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また、ある程度症状が進行して視力に問題が出て来ると、内科治療では効果が期待できず、外科的な治療が必要になります。最近では、人間同様に人口レンズと交換する手術を行うケースが増えて来ています。しかし、まだまだ手術ができる病院は限られている為、何れにしても専門病院での治療が必要となります。

ぶどう膜炎:ぶどう膜は、ぶどうの実に例えて名前がつけられていますが、①虹彩②毛様体③脈絡膜、の三つの膜から構成されており、眼球の内部を覆っている膜です。ここで炎症が起きた場合にぶどう膜炎と言います。

犬の白内障と間違えやすい核硬化症

高齢になると核硬化症と言って、水晶体が硬くなる”老化現象”があります。これは水晶体の色が少しくすんだようになります。更に歳をとると、その度合いは進みます。しかし、これは白内障とは別のもので、基本的には物は見えるので視力には大きな影響がありません。この現象は人間でも起こりえるもので、水晶体が硬くなると遠近調整が難しく、40歳を超えて来ると近くを見るための老眼鏡が必要になるわけですが、ワンちゃん達は近くの物が元からあまり見えない為、特に問題になりません。ですから、もし飼っている子がある程度の高齢になって来ており、目が少し濁っているように見えても、核硬化症の可能性もあります。しかし、ワンちゃんの中には、核硬化症と同時に白内障を発症している場合もあります。見えているようでも、白内障の初期であれば、視力にはそこまで影響が出ていない場合が多いですから、油断せずに、眼科で、一度は検診を受けることをおすすめします。眼科検診には特別な器材が必要ですから、眼科専門医に直接診察してもらうことが診断の早道です。

犬の白内障に関する注意

白内障も含め、目の病気は見えなくなる可能性があります。特に高齢になって来ると、眼科専門医による定期検診でこまめにチェックをすることが何よりも必要です。早いうちから、近所にある専門医のいる病院の場所や情報などを知っておくと良いでしょう。
万が一、目が見えないような状況になった時には、生活環境に注意をしましょう。家の中の家具の位置を変えたり、散歩道を変えるなどのストレスは与えずに、いつもと同じことを繰り返し、匂いと記憶を頼りに生活することが大事です。また、急に触ったりせずに、必ず声をかけましょう。ワンちゃんは人間よりもずっと障害に対しての適応能力が優れている為、すぐに慣れてくれます。

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rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

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