股関節形成不全は犬の整形外科では非常によく見られる病気で、特に、グレートデン、セントバーナード、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、ロットワイラー、ジャーマンシェパード、などの大型犬や超大型犬に多いと言われています。小型犬では、少ないですが見られることがあります。

通常、股関節は人間も犬も骨盤の穴(寛骨臼)に太ももの骨(大腿骨)がしっかりとはまっています。大腿骨の頭の部分(骨頭)は丸く、骨盤の寛骨臼にうまく入るようになっており、わかりやすく”ソケット”にはまっている、と表現されることもあります。しかし、股関節形成不全は、この部分の成長と発達が不完全で、はまりが十分ではない為、結果的に歩いたり、走ったりする時に問題が出てくる病気で、片方や両方の肢で起こります。

原因は、主に遺伝的にこの病気になりやすいことに加え、肥満や運動不足、栄養の偏り、などが複雑に絡んでいると考えられています。
歩行障害が出てくるのは、平均的にまだ若い生後3ヶ月から8ヶ月ぐらいですが、それより遅くに出てくる場合や、生涯に渡り顕著な症状が出ないこともあります。成犬になって症状が出る場合は、慢性化して骨関節炎により関節の炎症がひどくなり、関節の軟骨がダメージを受けるからと考えられています。

この病気を持った子犬は、生まれた時の股関節はほぼ正常な状態ですが、生後数週が経過した頃から変化が現れます。大型犬の子犬だからと言うことで、カロリーを過剰摂取した結果起こる急激な体重増加や、カルシウム過剰摂取による骨の急成長が起きた場合に、症状が出やすくなると言われており、成長期は十分な注意が必要となります。

犬の股関節形成不全の症状

症状は病気のグレード、すなわち、どれだけ股関節が緩くなっているか、炎症の程度、などによって変わって来ますが、主なものは以下のようになります。

・あまり動きたがらなくなる。
・立ち上がりづらい。
・走ったり、ジャンプや階段を上がりたがらない。
・びっこをひく。
・股関節脱臼。
・股関節の痛み。
・腰のふらついた歩様。
・うさぎのようにスキップする。(バニーホッピング)

犬の股関節形成不全の治療

股関節の脱臼がない場合は、まず消炎鎮痛剤を使った内科的な治療を行います。また、肢の負担を減らす為、肥満傾向の場合には必ず減量を行い、その後も体重の管理は非常に重要になります。痛みの為に運動量を制限しなければならない場合もあるので、食餌のカロリーは、尚更気を使うことが必要になります。

股関節脱臼がある場合を含み、内科治療では好ましい結果が出ない場合などは、外科的な治療も行います。一番多く行われている手術は、大腿骨の骨頭を切除して痛みを軽減するものですが、体重が非常に重い超大型犬には好ましくない手術とされています。また、術後管理が非常に重要です。

最近では人工的な骨頭に置き換える手術も行われ始めていますが、まだそれほど一般的ではありません。手術を行う病院が限られている上、費用もかなりかかるということが大きな負担になります。

犬の股関節形成不全の注意点

遺伝的に大型犬や超大型犬はこの病気になりやすいことがわかっているので、その犬種の子犬を迎え入れる際には、必ず両親や兄弟、などの遺伝的繋がりがある他の個体の状態を知っておくべきでしょう。また、どんな場合にも子犬時代に、極端に高カロリーのフードやカルシウムを与えることはせず、適切な子犬用のフードで適切な運動量を守り、普段から歩行状態を観察することが予防と早期発見につながります。

万が一発症した場合も、基本的には内科的な治療をベースに、体重管理と適度な運動を行うことで、生活も不自由なくできることの方が多いですから、獣医師のアドバイスを聞いて生涯ケアしてあげましょう。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

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