アレルギー性皮膚炎とは、何らかの理由で体の免疫機能が暴走した結果、正常の状態であれば反応を示すことがない物に対して過敏反応が出て、その症状が限定して皮膚炎という形で見られることです。この反応を示すものをアレルゲン(アレルギー原因物質)と言いますが、ワンちゃんにおけるアレルギー性皮膚炎で、臨床上よく見られるものは、以下の4つが挙げられます。

①食物性
②アトピー性
③接触性
④外部寄生虫性

犬のアレルギー性皮膚炎(食物性)

最近は低アレルゲン食と言われるようなフードが沢山売られるようになりましたが、そこからもわかるように、ドッグフードや普段あげている食餌の中に、アレルギー反応を起こす物(原材料、添加物、など)が含まれている場合に主に皮膚炎や消化器系の症状が出ます。犬種に関係なく、長い間同じ原材料のフードを食べていたことで起こり、1歳以下の段階で診断されるワンちゃんは、この病気のワンちゃん全体の3割近くいると言われています。

症状:痒みと発赤がメインで、顔面、耳、体幹部(胴体部)、四肢末端など、至る場所に症状が出る可能性があります。激しい痒みの為、舐め壊し、搔き壊しの結果、皮膚を傷つけて出血し、多くは細菌性の二次感染が起こます。脱毛、色素沈着なども見られます。外耳炎を併発することが多く、マラセチアなどの真菌も増殖します。また、皮膚は分厚く象の皮膚のようになり、脂っぽい(脂漏)状態になります。消化器症状(嘔吐や下痢、排便回数の増加、ガス)が認められることもあります。

アレルギー性皮膚炎(アトピー)

病院の待合室で待っているフレンチブルドッグを見かけると、おそらく皮膚が痒いのだろう、と想像してしまうぐらい、この病気は犬種に偏りがあります。当然、遺伝的な体質が絡んでおり、環境にあるアレルゲン(アレルギー原因物質)を鼻や皮膚から体の中に取り込んでしまい、皮膚に過剰反応が出ます。主なアレルゲンは、屋内ではハウスダストが人間でも問題になりますが、ワンちゃんも同じで、屋外では花粉、かび、などが考えられます。発症する時期は、大抵1歳から3歳の間でありますが、早くて生後6ヶ月、遅くても6歳ごろまでと言われています。
特に好発犬種として挙げられるのは、フレンチブルドッグ、トイプードル、ボストンテリア、パグ、柴犬、ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、ジャーマンシェパード、ヨークシャーテリア、コッカースパニエル、ミニチュアダックスフンド、ウエストハイランドホワイトテリア、ミニチュアシュナウザー、などです。

症状:季節的な皮膚の痒みと発赤(ほっせき)から始まり、やがて常に症状が出るようになって来ます。顔、耳、四肢末端、脇腹、鼠径部、脇の下、などに症状が集中します。自傷(自ら引っ掻いてしまう)することで傷を作り、舐め過ぎて皮膚が二次的にダメージを受け、細菌感染を起こしたり、脱毛、色素沈着、肥厚などを認めます。マラセチア性皮膚炎と外耳炎、結膜炎などを合併することが多いです。

犬のアレルギー性皮膚炎(食物性)とアトピー性皮膚炎の治療

アレルギーの治療には、当然アレルギー原因物質であるアレルゲンを除去することが必要です。食物がアレルゲンの食物性アレルギーと環境因子がアレルギーであるアトピー性皮膚炎(注)に関しては、治療の際に除去食などの療法食を獣医師が処方しますから、それ以外のフードは絶対に口にしてはいけません。

治療に使われる療法食は、非常に多くの種類が出ており、アレルギーの原因が何であるかによって食べられる物が変わる為、全ての低アレルゲン食が全てのワンちゃんに適用する訳ではありませんので注意して下さい。以下に、例を挙げてみます。

例)食物性アレルギーであると診断され、アレルゲンがチキンである場合。以下のフードはチキンを使っていませんから、チキンアレルギーのワンちゃんも食べることが出来ると考えられます。

・ヒルズ

 

d/d :ダック&ポテト(ドライ)、サーモン&ポテト(ドライ)、ラム&ライス(ウェット)

z/d :低アレルゲン(ドライ、ウェット)、ULTRA(ドライ)

外部リンク:アマゾン販売ページ

・ロイヤルカナン

セレクトプロテイン:フィッシュ&ポテト(ドライ)、ダック&タピオカ(ドライ)、
低分子プロテイン(ドライ、ウェット)
低分子プロテイン・ライト(ドライ)
アミノペプチドフォーミュラ(ドライ)

外部リンク:アマゾン販売ページ

・エランコ

アミノプロテクトケア:ポテト、えんどう豆

注)アトピー性皮膚炎でも、低アレルゲン食を食べることで症状の改善があると考えらえており、基本的には食餌療法が必要になります。

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アレルギー性皮膚炎(接触性)

人間でも金属アレルギーという言葉を聞いたことがあると思います。これらは、その物質に何度か接触して皮膚が赤く、痒みが出たりするもので、ワンちゃんでもそれ程多くはないですが、同じような病気が見られます。よくあるアレルゲンは、植物、家庭の清掃剤、プラスティックのお皿、ゴムのおもちゃ、革製品、などがあります。特に犬種による偏りもありません。

症状:接触した部位が赤くなったり、痒みが出たり、いじることで脱毛して来たりします。例えば、使っていた首輪やお皿の素材が合わずに、首周りをしきりに掻いたり、唇の周りがいつも赤くなっている、などで気づくことが多いです。

アレルギー性皮膚炎(外部寄生虫性)

ノミやダニなどの外部寄生虫に寄生されることで、アレルギー性皮膚炎になることがあります。これはノミなどの唾液がワンちゃんの体に入ったことで、それに対する抗体(アレルゲンを排除する物質)が出来て、アレルギー反応が出てしまう状態です。

症状:非常に痒みが出て、お尻の周りや背中にかけて、発疹、赤み、脱毛、などが見られます。中には、痒みの為に尻尾を自分でかじってしまう子がいます。特徴的な脱毛なので、病院の待合室で見かけてもすぐにわかることが多いです。

アレルギー性皮膚炎における注意事項

症状のメインは痒みであることが多く、痒みは飼い主さんでは絶対にどうすることもできません。例えば、アトピー性皮膚炎の人に話を聞いてみるとわかりますが、彼らは寝ている間も掻いています。非常に我慢しづらい状態です。痒みが出ていると気づいたら、すぐに受診しましょう。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、ニューヨークで人と動物のホメオパシーを4年間学び、日本では小動物臨床を10年ほど経験。馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らし中。

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