私たち人が涙を流す時、悲しい、悔しい、嬉しいなどの感情的なことが原因で泣いたり、目に物が入って痛い時などに涙が増えていることが多いですよね。わんちゃんではどうでしょうか。愛犬の涙が多い、そんな様子を見かけたことはありませんか?わんちゃんに感情が無いわけじゃないですが、わんちゃんの涙が増える時には感情的なことが原因ではなく、眼にトラブルを抱えていることが多いんです。
今回はわんちゃんの涙のお話しです。多くの方が悩む涙やけにも触れながら、お話を進めていきたいと思います。

涙の作られ方と構造

涙にも構造があることを知っていますか?
涙は、ムチン層、液体層、油層の三層構造をしています。ムチンは眼の表面、角膜から突出した多糖類とよばれるものからできていて、液体層が角膜に付着しやすくするはたらきがあります。液体層は涙腺で作られます。涙の98%は水分ですが、残りの2%にタンパク質が含まれます。油の層はまぶたにあるマイボーム腺から分泌され、瞬きで眼全体に広がって液体層を覆います。油の層があることで液体層の蒸発を防ぎ、涙を眼に保持するのに大きな役割を果たしています。
涙腺で作られた涙は眼全体に広がり、鼻涙管を通って鼻に抜けます。

涙が溢れてしまう原因

涙が目から溢れてしまう原因はいろいろありますが、メカニズムは、①涙の産生が増える、②涙がうまく鼻に抜けていかない、③涙が保持できない、の三種類に分かれます。
それぞれのメカニズムについて代表的な原因をご紹介していきますね。

①涙の産生が増える原因について
⚫︎眼に異物が入る
私たちも眼に何か異物が入ると痛かったり違和感があって涙が増えますよね。わんちゃんも同じです。わんちゃんに多いのが、睫毛の異常や眼の周りの毛が入ってしまうことです。
⚫︎目に痛みがある
痛みがあっても涙が増えます。例えば、眼の表面、角膜に傷がある、緑内障などの病気、外傷などです。
⚫︎目に炎症がある
結膜炎、強膜炎など眼に炎症がある時には、眼に違和感や痛みが出る場合があり、涙が増えることがあります。涙が増えるだけでなく、充血や眼脂がみられることが多いです。
②涙が鼻に抜けていかない原因について
⚫︎涙囊炎がある
涙は目頭にある涙点から吸収され、涙囊という袋を経由して鼻涙管を通り鼻に抜けます。この涙囊が炎症を起こした状態が涙囊炎です。涙囊炎を起こすと鼻涙管の入り口が塞がれてしまい、涙が流れないために眼から溢れてしまいます。
⚫︎涙点が閉塞している
涙点は眼頭の内側にあります。下まぶたが内側に向いていたり、炎症で腫れたりすると涙点からうまく流れていかないことがあります。下まぶたが内側に向く状態を内反と言いますが、眼瞼の内反は生まれつきのものであることが多いと言われています。
まぶたに炎症がある時には、痒みを伴うことが多く、引っ掻いた時に眼に傷をつけてしまうことがあるので注意が必要です。
⚫︎鼻涙管が狭くなったり、閉塞したりしている
鼻涙管に汚れや眼脂などが詰まったり、鼻炎などが原因で狭くなることがあります。
③涙が保持できない原因についてです。
⚫︎マイボーム腺からの分泌物が目表面に広がらない
マイボーム腺はまぶたにあり、油を分泌する腺です。この分泌物が瞬きをすると眼全体に広がって眼の表面の涙の層を覆うので、涙の液体層が一定の厚さを保てます。分泌腺が詰まることがあり、油が分泌されないと、油膜が形成されません。そのため、液体層を保持することができなくなり、涙が眼から溢れてしまいます。

流涙を起こしたら?

原因を突き止めるために、動物病院への受診をお勧めします。特に急に涙の量が増えた時には、眼の傷や病気の可能性もあります。眼の傷って怖いもので、深いものだと失明の危険もあります。すぐに動物病院へ行けない時には、エリザベスカラーを装着するなどしてください。
慢性的に涙が多い時には、もう少し様子を見てみよう、などと思いがちですよね。しかし、原因によっては、視野や視覚にダメージを与えてしまうことも考えないといけません。たとえば、逆まつげを放置してしまえば、慢性の角膜炎に移行してしまい、角膜の変性により視野が狭小化してしまう可能性もあるかもしれません。涙が流れてた部分のは皮膚炎を起こすことがあるので、拭き取ってあげましょう。
いずれも、自己判断で特に市販の目薬を使わないでくださいね。

涙やけ

涙が眼から溢れてしまうと、目頭の部分から流れ、周囲の毛に付着します。常に涙が流れ、被毛が変色した状態を涙やけと呼んでいます。読者の方々の中にも愛犬の涙やけに悩んでおられる方も多いのでは?
涙の水分以外の成分、タンパク質には、ラクトフェリンやライソゾーム、免疫グロブリンなどが含まれ、細菌の増殖や感染を防ぐはたらきがあります。この中のラクトフェリンは乳汁や唾液などの分泌液にも含まれる成分ですが、鉄に結合する性質のあるタンパク質なんです。涙がこぼれると、被毛や皮膚に存在する雑菌や紫外線に反応する他、ラクトフェリンが酸化し、独特の赤い色素となり被毛を染めてしまうのです。鉄の酸化とは、錆びのことです。原因の一つに「錆び」があるんです。被毛の色が変色して元どおりにならないのも納得ですね。

流涙を予防しよう

流涙も原因によっては予防ができますよね。
例えば、被毛が伸びる犬種、トイ・プードル、マルチーズ、シー・ズー、ペキニーズ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなどは、定期的に眼の周りの被毛を短くカットするなどの対策を取ることができます。
また、布団やコタツなどに潜り込むクセがあるわんちゃんは細かな埃などが眼に入り、涙の原因となることもあります。角膜を傷つけてしまうこともありますので、できれば潜らせないようにしたいものです。
散歩コースが埃っぽい、散歩中に草むらに入るなどということはありませんか?わんちゃんは体高が低く、私たちの足元を歩きます。そのため、思った以上に砂埃の影響を受けるものなんです。交通量の多い道路を通ったり、草むらに元気よく入って行ったりすると、眼に異物が入ったり、草の先が刺さったりして眼を傷つけてしまうこともありますので、気をつけてあげましょう。

まとめ

わんちゃんの涙も奥が深いですね。流涙や涙やけを気にされている方も多いと思いますが、いろいろな原因があって、病気が隠れていることもあるんですね。慢性的に涙が多い時には、予防をしてみるのも一つですが、効果が無ければ病院で診察を受けた方が安心かもしれませんね。

(uw25rescueccnu)
育児をしながら臨床獣医師として勤務中、その傍でペットについて正しい知識を知ってもらいたいという思いから、執筆も手がけています。

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