犬のパルボウイルス感染症は、ジステンパーウイルス感染症と並び有名な感染症だと思います。パルボウイルス感染症は、特に仔犬が感染するとひどい胃腸症状を出し、致死率の高い病気ですが、ワクチンでの予防も可能なので、この病気を知ってみえるオーナーさまも多いと思います。
今回は、パルボウイルス感染症についてです。病気の特徴や治療法、愛犬を守るための予防法についても触れていきたいと思います。

パルボウイルス感染症ってどんな病気?

犬パルボウイルスが原因で起こるわんちゃん同士の感染症です。

まず、パルボウイルスがどんなウイルスなのかを簡単にご紹介しておきます。犬パルボウイルスは、他種動物に感染したパルボウイルスが変異を起こしてわんちゃんに感染するようになったと言われています。

このパルボウイルスは小さいですが、ジステンパーウイルスとは異なり、とても強いウイルスです。60度以上で加熱しても1時間以上死滅せず、アルコールなどの一般的な消毒剤は無効で、塩素やホルマリンといった強いものでようやく死滅します。そのため、環境中に排泄されても数ヶ月以上生存し続けることができます。つまり、私たちが靴に付けて運んでしまう可能性もあるんです。たとえ室内飼いであっても油断は禁物です。このように、パルボウイルス感染症は特別な病気ではなく、一般的に見られる普通の病気なのです。

感染ルートは、感染したわんちゃんが排泄した吐物や糞便です。これらの排泄物にウイルスが含まれ、これが鼻や口から次々とわんちゃんに感染していきます。最近では、免疫を持つわんちゃんも増え、ウイルスに接触しても発症する確率も20%以下と下がり、また、感染しても致死率は1〜5%以下であるとの報告もあります。しかし、恐ろしい病気であることには変わりなく、依然として命を落とすわんちゃんもいます。

猫ちゃんにもパルボウイルス感染症はありますが、その原因となるネコパルボウイルスはわんちゃんには感染しないと言われています。また、イヌパルボウイルスが私たち人に感染することもありません。

パルボウイルス感染症の症状

パルボウイルスに感染すると、2〜3日で症状が出ることが多いです。元気や食欲が無くなったり、嘔吐、下痢、脱水かみられ、衰弱してしまいます。このような症状と同時に、特徴的な白血球減少が起こります。白血球減少は検査をしなければ分かりませんが、大抵の場合、症状が出ると動物病院へかかり、血液検査により白血球減少が発見されます。
感染してから5〜7日でウイルスに対する免疫が作られるため、回復できる場合には、この頃から快方に向かいます。しかしながら、下痢や嘔吐が続き、衰弱が激しい場合には、残念ながら命を落としてしまいます。特に抵抗力のない仔犬では過急性感染を起こすことがあり、症状発症から1日ほどで亡くなってしまうこともあります。
また、8週未満の仔犬が感染すると、ウイルスが心臓に感染してしまい、心筋炎という心臓の病気を起こすこともあります。

パルボウイルス感染症の治療

パルボウイルス感染症は治療ができるのでしょうか。
他のウイルス感染症と同じように、パルボウイルス感染症にも残念ながら特効薬はありません。そのため、ウイルスを直接攻撃するような治療はできず、わんちゃんの持っている免疫力に頼ることになります。起こっている症状に対しては、対症療法、補助療法を行います。
嘔吐に対しては、制吐剤、水分と栄養補給、電解質バランスの補正のための点滴やビタミン剤の投与をします。下痢に対しては、腸内細菌が異常に増えるのを抑えるために抗生物質投与することもあります。

パルボウイルスの予防

特効薬がないのですから、予防をして何とか感染を防ぎたいものですよね。
予防には混合ワクチンを接種が有効です。混合ワクチンの種類も様々ですが、5種以上のワクチンにはパルボウイルスは含まれますので、混合ワクチンを接種していればまず予防は大丈夫と言えるでしょう。

パルボは、仔犬の集まるペットショップで広がることが珍しくありません。それは、もちろん仔犬たちの抵抗力が弱いというのもありますが、ペットショップにいる仔犬たちの月齢にも関係します。仔犬たちは母犬の母乳を飲んで育ちますが、出産直後の母乳、初乳には移行抗体といわれる母犬の持っている免疫が含まれ、初乳を飲むことで仔犬たちは病気から守られます。この移行抗体は徐々に仔犬たちのを体からは減り、最終的にはなくなるのですが、移行抗体が体の中に残っている時には、ワクチンを打っても期待したようにはうまく免疫がつかないんです。仔犬を守るためのはずの移行抗体が邪魔をしてしまうんですね。この、移行抗体が少なくなってきて、ワクチンでうまく免疫がつかない時期、それがペットショップにいる仔犬の月齢、2〜3ヶ月なんです。1番抵抗力の弱い時期に強いウイルスが入ってしまえばあっという間に拡がってしまうのです。このため、ペットショップでは早めの時期からワクチン接種をしています。

まとめ

パルボウイルスはとても感染力の強いウイルスです。しかも身近に存在してるため、いつ感染しても不思議ではないんですね。最近は、重症化するわんちゃんは少なくなってきているのも事実ですが、一方で、まだ命を落としているわんちゃんもゼロではありません。ワクチンで予防をしてあげることはできますので、獣医さんの指示通りにワクチンを接種するようにし、この怖いウイルスから愛犬を守ってあげましょう。

(uw25rescueccnu)
育児をしながら臨床獣医師として勤務中、その傍でペットについて正しい知識を持ってもらいたいという思いから、執筆も手がけています。

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