ウイルス性の肝炎って聞くと、最近テレビでもよく話題に上がっていますが、私たち人間ではB型肝炎やC型肝炎が有名ですよね。わんちゃんたちにもウイルス性の肝炎はあるんです。混合ワクチンを受けられているわんちゃんはワクチンで予防していると思いますので、ご存知の方も多いかもしれませんね。でも、実際にどんな症状が出る病気なんでしょうか。ジステンパーはパルポは知っているけれど、伝染性肝炎の症状…?そこまで詳しくお分かりの方は少ないと思います。
今回はジステンパーやパルボのようにメジャーではないですが、仔犬がかかると致死率も高い、犬の伝染性肝炎、アデノウイルス1型感染症についてです。

伝染性肝炎ってどんな病気?

わんちゃんの伝染性肝炎は、アデノウイルス1型が感染して発症する、わんちゃん同士の感染症です。このウイルスはわんちゃんだけでなく、野生のコヨーテやキツネ、クマにも感受性があると言われています。ワクチンで予防していれば発生することはまず珍しいですが、仔犬が感染すると致死率も高く、感染してしまうと急死の原因になったり、慢性肝炎へ移行してしまったりと、とても恐ろしい病気です。大人のわんちゃんでは抵抗力が高いので、ウイルスに感染しても症状を示さずにウイルスを保有します。しかし、人に感染することはありませんので、こちらは安心してください。

ウイルスに感染すると…

アデノウイルスには口や鼻からウイルスが体の中に入ることで感染します。ウイルスはとくに感染してウイルスを持っている動物の尿や唾液などの分泌物に含まれています。感染したわんちゃんが食器やおもちゃを舐めたりすればウイルスがばらまかれてしまうんですね。そのため、あっという間に広がってしまう恐れがあります。

ウイルスが体に入ると、まず喉のリンパ節、扁桃腺に存在し、扁桃腺から全身のリンパ節へと拡がります。感染して4日〜8日で尿や便、唾液などの分泌物にウイルスが見られるようになります。10日〜14日後には腎臓をはじめ、多くの臓器にウイルスは拡がります。このようにウイルスは少しずつ全身に広がっていきます。

ウイルスは肝臓の他、血管の細胞を好んで増えていきます。そのため、肝臓がダメージを受ける他、血管へのダメージでさまざまな臓器に障害が出ます。具体的には、発熱、嘔吐、下痢、腹部痛、黄疸などです。また、角膜の浮腫や眼の中に炎症も起こり、眼が青色に見えることがあるため、特徴的なブルーアイとなることもあります。

しかし、臨床症状の多くは、伝染性肝炎だけに見られる特別な症状ではないので、アデノウイルスが原因だということを突き止めるには、肝臓の細胞を少し取り専門の機関で検査をする必要があります。

伝染性肝炎の症状と治療

急性の致死型だと、ウイルスが体で増える過程が最もひどい症状となり、急に命を落とすことが多いです。
しかし、治療も一昔前の人のインフルエンザと同様に、伝染性肝炎には残念ながら特効薬はないんです。このため、対症療法といって症状に応じた処置をしながら、わんちゃんの持っている病気と闘う力に頼ることになります。
治療では、水分や糖分を補う点滴をしたり、肝臓を助けるために強肝剤やビタミン剤を投与したり、場合によっては輸血が必要になることもあります。フードは肝臓用の特別な食事に変更することもあります。
急性の症状が治まっても、慢性肝炎に移行し、生涯に渡って治療が必要になり病気と付き合っていかなければならないこともあります。

伝染性肝炎の予防

それでは、伝染性肝炎にかからないようにするためにはどうしたら良いでしょう。
そうですね、ワクチンが最も予防効果が高くなります。仔犬は生まれて2ヶ月齢を過ぎた頃からワクチン接種が始まります。ワクチンは必ず3回接種を受け、成犬になっても年1度の追加接種は受けるようにしてください。ワクチンを受け、伝染性肝炎だけでなく、ジステンパーやパルボなど仔犬が感染すると致死率の高い病気の予防もするようにしましょう。
主な感染源となる尿への接触を極力避けることも予防につながります。伝染性肝炎では、症状の軽快後もかなりの期間、尿にウイルスが排泄され、その期間は数週間とも数ヶ月とも言われています。お散歩中にやたらといろいろな所の臭いを嗅ぎまくる、というのもできれば避けた方が無難です。ドッグランやドッグカフェ、ペットホテル、トリミングサロンなども感染源との接触の可能性がないわけではありません。言い出したらきりがないのですが、特に抵抗力の弱い仔犬のうちは、あちこち連れ出すことは控えたほうがよいですね。また、なるべくワクチン接種を義務づけている施設を利用することで感染の機会を減らしましょう。

まとめ

最近は、わんちゃんを飼われている方の意識も高まり、ワクチン接種をしていないわんちゃんの方が珍しいのではないでしょうか。そのため、伝染性肝炎を実際に見かけることは少なくなってきています。しかし、原因となるアデノウイルスの感染力は強いので、1度発生するとあっという間に大流行をしかねません。もし、うちの子が感染…なんて考えるとゾッとしてしまいますね。万が一の時に備え、ワクチンは獣医さんの指示通りに接種して、伝染性肝炎をはじめとする怖い感染症を確実に予防していきましょう。

(uw25rescueccnu)
育児をしながら臨床獣医師として勤務中、その傍でペットについて正しい知識を知ってもらいたいという思いから、執筆も手がけています。

病気になる前にドッグフードをチェック!!

スポンサードリンク

いいねするだけ!フェイスブックで最新記事をお届け