ワンちゃんがお尻をなめている姿は、一度は見かけたことがあるとは思います。ちょっとしたお尻の汚れがあってグルーミングでなめるのは自然なことであり、飼い主さんもお尻拭きせずに助かるかもしれません。しかし、常に気をつけなければいけないのは、その”頻度”です。いつもお尻ばかりなめているとすると、何か特別な理由があると考えられます。まず、お尻周りをじっくり眺めてみて下さい。なめすぎて真っ赤になっていたり、腫れ上がったり、脱毛していたり、などの異常な状態がそこにあるでしょうか。なぜ、”なめ過ぎる”と思われる程なめたいのか、原因を探ってみたいと思います。

犬がお尻をなめる主な原因

特に多いと考えられるものは以下のようになります。

・肛門腺の問題

これは一番多くの飼い主さんが直面するであろう問題と言えます。ワンちゃんは、肛門嚢という”におい袋”を左右、時計の針の4時と8時の位置に持っていて、肛門腺という管からにおいのきつい分泌物を排出します。排便したり、吠えたり、怖さのあまりに力んだ勢いで飛び出して来ます。しかし、肛門括約筋が弱いことが多い小型犬や肥満犬、液体が固めなタイプの子は自力で出せず、飼い主さんやサロン、病院などで絞ってもらう必要があります。そして、しばらく絞っていなかった場合は、溜まった液体が不快でお尻をなめたり、床にお尻をスリスリと擦り付けて歩いたりします。
それ以外には、肛門嚢炎と言って、分泌物が何かの原因で排出されずに溜まったままであった場合などに、細菌感染を起こして発症する病気があります。肛門は元々、便が出ることから細菌類が繁殖しやすい場所で、肛門嚢炎になると化膿して膿が溜まってしまったり、場合によっては破裂して出血や痛みを伴うことになります。ワンちゃんは、これをしきりになめて、痛みがひどい場合には飼い主さんが触るのを嫌がり、重症な子では痛みから食欲低下が起こることさえあります。チワワ、ミニチュア・プードル、トイ・プードルなどの小型犬は特に注意が必要です。また、慢性の下痢や便秘が続いていた場合にも発症する可能性がありますが、お腹の調子を整えることと抗生物質や消炎剤での治療を行います。
いずれの場合にも、肛門腺の定期的なチェックを病院で行うことで予防できます。

・皮膚病

例えば、ノミアレルギーなどがあるワンちゃんは、肛門周囲が脱毛とかゆみで大変ストレスになります。自分の尾をかじったり、お尻をなめたりの症状とノミの寄生により、全身を掻いている可能性があります。また、アトピー性皮膚炎などの場合も肛門周囲が痒くなることがあり、なめてたり、すりつけたりしたことで脱毛もして来ます。この場合は、アレルギーの診断をして治療となります。

・消化管内寄生虫

最近では、ほぼ毎月フィラリア予防薬を飲ませているので、回虫などの線虫類と呼ばれている寄生虫の寄生はめっきり少なくなったと思います。しかし、今でも確実にこれらのお腹の中の虫と呼ばれている虫は存在します。また、ノミからうつる瓜実(うりざね)条虫やカエルやヘビからうつるマンソン裂頭条虫などは、フィラリア予防薬では対応できませんから、生活環境によっては、別個で駆虫薬を飲ませなければいけないことがあります。これらの寄生虫は虫体そのまま(或いは片節と呼ばれる虫の断片)が小腸から肛門の近くに移動して、お尻周りの違和感を感じさせる原因になります。また下痢などを起こすため、下痢した後に切れた肛門をなめたりすることさえあります。これらの寄生虫は駆虫薬を飲むことで治療ができますが、毎月、ノミ・ダニ予防とフィラリア予防を行い、カエルやヘビなどは近寄らないようにしましょう。

・外部寄生虫や感染症

外部寄生虫(ノミ、マダニ、疥癬など)が寄生することで、肛門周囲にかゆみを感じてなめてしまうこともあります。また、細菌感染や真菌(かび)感染が肛門周囲で始まって、かゆみを出す結果なめることがあります。寄生虫の駆除や抗生物質、抗真菌剤などで治療を行います。

・腫瘍

特に高齢になった未去勢のワンちゃんで多く見られるのが、肛門周囲腺腫という良性の腫瘍で、名前の通り肛門周囲に腫瘍ができます。オスのホルモンが関係していると言われており、去勢をしていない場合は発症率が高く、治療する際には去勢を必要とします。また、悪性の場合や特にメスに多い肛門嚢アポクリン腺がんの場合も、肛門周囲の違和感を感じてなめるたりすることがあります。治療は手術などが検討されます。

犬がお尻をなめる行為に関する注意事項

お尻は不潔になりがちな部分です。ですから、なめていることで皮膚が炎症を起こしてしまうと、すぐに細菌感染に繋がりやすいです。ワンちゃんたちは、かゆい、痛い、不快、となれば、ずっとなめ続けます。飼い主さんは、なめていることに気づかれたらば、すぐにその場でお尻をチェックして、何も見当たらなくても、なめ続けているようであれば早急に獣医師に相談をして下さい。また、なめ防止にはエリザベスカラー装着となるので、かわいそうでも治療のためにしばらく我慢しなければいけません。

 

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

 

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