だんだん歳を取ってくると、ワンちゃんもあちこちに変化が出て来ます。例えば、前はあまり吠えたりしない子だったのに、最近は変な時間、夜中の2時や3時、みんな寝静まっているタイミングに突然吠え出す、など、これは近所迷惑だし、家族もストレスが溜まります。しかし、実は夜泣きは高齢犬には割とよく見られる光景で、その背後にはいくつかの考えられる理由があります。

高齢犬の夜泣きの理由

・認知症

これは、人間の病気ではアルツハイマー型認知症に似た状態で、老化現象により脳の中にある種のタンパク質が沈着することで正常に機能しなくなると言われています。ですから、たまにボーっとしたりすることがあるかもしれません。食べることを忘れたり、どこに何があったのか覚えていなかったり、何をしているかわからなくなっていたり、そんなことが起きているのかもしれません。
このような混乱は、まるで迷子の子供のようにとても不安になります。その結果、吠えてしまう、或いは、混乱して何が何だかわからず”ただ”吠えていることもあります。

・排泄
年齢が上がって来ると、人間でもあるように夜にトイレに行きたくなることもあります。ワンちゃん自身のベッドでしてしまうより、しかるべき場所でしたい、そう思って飼い主さんを呼んでいる可能性があります。
・痛み
高齢者の方とお話をすると、大抵、どこが痛い、という話題になると思いますが、ワンちゃんも高齢になれば当然、あちこちに痛みが出てきてもおかしくはありません。体全ての器官も関節も若い時とは全く異なります。そして痛みによる不具合は、何かをしていると気が紛れても、夜中に静かに寝ている場合はその問題に頭が集中せざるを得なくなることも考えられます。その結果、声に出してしまうこともあるのです。
・不安
ワンちゃんは高齢になると若い頃と性格が変わることがあります。多くの場合、不安がるような性格になると言われています。例えば、前はあまり知らない人に対しても吠えたりしなかったのが、急に吠えるようになって来た、大きな音や急な眩しい光には無反応だったのが非常に敏感になって来た、などはその証拠と言えるでしょう。また、飼い主さんが留守にしてしまうと、過去には全く問題がなかったのに、分離不安の状態になってしまうことも考えられます。
・欲求不満
老化現象により、以前にできたことができなくなったことで、欲求不満になってしまっている場合も可能性があります。例えば、急に目が覚めた時に対位を変えようとしてもうまく行かない、といった状況が考えられます。
・感覚器の問題
関節や器官だけでなく、視覚や聴覚にも当然問題が出て来ます。あまり良く見えなくなって来た、白内障がある、などは視界がクリアでないことへの不安が生じます。それに加えて関節炎などを患ったら、生活は更に難しくなりますし、聴覚が失われることでも常に不安がつきまといます。以前は体温の調節も簡単にできたはずが、高齢になるとそれすらも難しくなります。夜中に急に寒かったり、暑かったりを感じたら、体は反応できずに冷えてしまったり、逆に熱くなりすぎることもあります。そして結果的に、飼い主さんに助けを求めるには吠えるしかありません。

高齢犬の夜泣きの対策

それぞれの原因に対しての対策を挙げてみます。

・認知症:食餌を変えてみる、行動パターンを変えさせる(昼夜逆転している場合は、夜起きないようにする)、薬剤による治療を行う、などがあります。また、その都度オモチャなどを与えてみる、軽く外を一回りする、などのケアも効果を期待できます。しかし、獣医師のアドバイスを必ず受けて下さい。
・排泄:もちろん、トイレに連れて行くことがベストですが、夜中に何度も起こされてはたまりません。まずは老化現象以外の問題でないことを獣医師にチェックしてもらってから、薬剤を使う、或いは今は沢山のオムツの種類があるので、フィットするものを使うことも選択肢に入ります。
・痛み:まずは痛みの原因を獣医師にチェックしてもらい、早速治療をスタートすべきです。
・不安:なぜ不安になるかをじっくり観察しましょう。別の部屋で寝ている場合は同じ部屋にしてみる、気に入りそうなオモチャを与えてみる、なども効果が期待できます。また、獣医師に分離不安を緩和する内服薬を処方してもらうことも可能です。
・欲求不満:これは夜よりも日中に何かの動作をした時に、より多く起こる可能性がありますが、夜の行動をじっくり観察して、もしも原因が寝ている時に起きている不都合であるとすれば、安心するようなオモチャを使ったり、同室で寝てケアをするなどがよいでしょう。
・感覚器の問題:視覚失われつつある、あるいは失われている場合には、家の中の模様替えを絶対にしないことと、ドアを閉めないこと、常に移動の際にガイドをしてあげることで覚えさせなければいけません。夜もうっすらとライトをつけておくのも良いでしょう。聴覚が失われている場合で同室で寝られない時は、テレビを夜つけておくのは一つの方法です。寒さや暑さには室内の温度管理やタオルを使い、しっかり対処して下さい。

高齢犬の夜泣きの注意事項

高齢犬であることは、病気が隠れている可能性もそれなりに高いということです。いつ頃からか夜泣きが始まったが、特に元気食欲は問題ない、と言ってご近所の迷惑を気にしながらそのまま時が経つのを待つのではなく、病気がないか、老化現象だけなのか、などはしっかりと獣医師が診断すべきであり、飼い主さんが一人で悩んで解決することではありません。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

病気になる前にドッグフードをチェック!!

スポンサードリンク

いいねするだけ!フェイスブックで最新記事をお届け

無料メルマガ配信中