膵炎と聞くと、お酒の飲み過ぎや食べ過ぎ、などのイメージを持たれている方も多いと思います。確かに私たち人間では急性膵炎をよく見かけますね。芸能人が罹患し、緊急入院などとニュースになることもありますよね。わんちゃんでも膵炎は比較的よくみられる疾患なんです。小型犬が増え、私たちの食べ物を食べる機会が増えたことで、特に食事が原因となった急性膵炎が多いのも残念ながら事実です。
犬にも膵炎が増え、その認知度も高くなってきました。また、検査の精度も上がり早期に発見が可能で、治療にも早く入れるようになりました。しかし、一方で重症例では腎不全などの全身症状を伴う膵炎ではまだ命取りになることもあります。膵炎は少し気をつけてあげることで防ぐこともできる病気です。
今回は近年増加傾向にある犬の膵炎について、症状や治療、予防のためにできることなどをお話ししたいと思います。

膵臓って?

では、膵臓って何をする臓器でしょうか。
膵臓は消化酵素といって食べ物を消化して体に吸収しやすくするための物質を作って分泌します。その物質というのが、リパーゼ、アミラーゼと呼ばれるものです。この他、血糖値を正常に保つためのホルモンを作り分泌する働きもあります。膵臓は酵素やホルモンの生産工場なのです。

膵炎の原因

膵炎の原因は、何と言っても食事です。わんちゃんたちはお酒を飲むことはないので、脂肪分の多い食事が引き金になります。余った唐揚げをあげる、ケーキのおすそ分けをする、おやつにアイスクリームを一緒に食べるなど、わんちゃんに私たちの食べものを与えてはいませんか?冷やっとした方もいるのではないでしょうか…日常的にあげていなくても、与える量や体調によっては、『たまたま』の1回が原因になり、おおごとになる合もあります。
また、抗がん剤や抗生物質の一部の薬剤の投与でも膵炎を誘発する事があります。そのようなお薬を投薬する必要がある時には、獣医師から説明があると思います。

膵炎の症状

膵臓は消化酵素の工場のようなものだということを先にお話ししました。膵炎はこの工場が爆発するようなものです。爆発で工場から漏れ出た消化酵素が周りの臓器に飛び散ると…自分で自分を消化してしまうのです!膵炎では、とにかくお腹が痛い!と、かかったことのある人は口を揃えて言うのはこのためなんですね。そして、その症状はわんちゃんたちでも同じです。では、膵炎で見られる代表的な症状をご紹介しますね。

⚫︎お腹の痛み : 酷い腹痛でお腹を丸めたり、前足を前に伸ばして伸びをするような姿勢をとることもあります。

⚫︎吐き気、嘔吐 : 何も口にしていなくても何度も戻してしまいます。嘔吐がある時には飲んだり食べたりさせないようにしましょう。それが引き金でまた嘔吐することがあります。嘔吐により脱水や体のミネラルバランスが乱れてしまい、悪循環に陥ります。

⚫︎食欲低下 : 軽度な場合には軽い吐き気と食欲低下だけのこともあります。

⚫︎下痢 : 炎症が腸に及ぶことがあり、下痢をすることがあります。

⚫︎元気がない : ちょっとした吐き気や下痢とは違い、症状も強いです。このため元気がなくなり、じっとして動かないことも多いです。

⚫︎黄疸 : オーナー様が気づくことは少ないかもしれませんが、炎症が強いと黄疸が出ることもあります。1番分かりやすいのは白眼です。

⚫︎腹膜炎 : 炎症がひどく、お腹全体に炎症が広まると腹膜炎になる事があります。

膵炎では膵炎の周囲にも炎症が起きて腹痛以外の症状が出ますが、炎症が強く腎不全や肺水腫、血液が固まりやすくなるなど全身にその影響が出ると予後は良好ではなく、最悪の場合、命を落としてしまうこともあります。

膵炎の治療

膵炎の治療の中心は、痛みと吐き気、嘔吐のコントロールです。強い痛みはわんちゃんにとっても、とても辛いものですしストレスにもなります。痛みによるストレス反応は本人が苦痛であるだけでなく、全身にも悪影響を及ぼします。
また、嘔吐は体から水分だけでなくカリウムなどのミネラルも失います。そのため、脱水を起こしたりミネラルバランスが崩れたりします。脱水がみられれば、制吐剤で嘔吐を抑えながら点滴をして脱水とミネラルバランスの改善をしていきます。
重症な膵炎の急性期には、疼痛、嘔吐、脱水、ミネラルバランスの改善が治療の要になります。
嘔吐が続くうちはまだ食餌は開始できません。以前は膵炎では絶食が基本でしたが、絶食が長くなればなるほど腸での消化吸収機能が落ちる事が分かりました。そのため現在では嘔吐が止まればなるべく食餌を早く始める方針で治療を進めます。

膵炎にならないために
それでは、最後に膵炎にならないように気をつけたい事です。
それは、食べるものです。くどいようですが、脂分の多い食べ物は消化に負担がかかります。実際、動物病院で膵炎になったわんちゃんの食生活を聞くと、たいてい前日に私たちの食べている揚げ物など高脂肪の食べ物をわんちゃんにあげてしまっています。もちろん、脂分の多い物を与えて必ず膵炎になるわけではないですが、リスクを減らすためには与えない方がベターですね。
膵炎になると、フードは低脂肪の療法食に変更になります。

まとめ
痛いイメージの膵炎。私たちと一緒に生活するようになって、わんちゃんたちが私たちの食生活の影響を受けることも少なくないと思います。わんちゃんが喜んで食べる姿は可愛いものですが、脂肪過多の食べ物には危険が潜んでいるんですね。私たちも最近では健康志向が出てきていますよね。それはわんちゃんたちも同じです。わんちゃんも健康志向!でいきましょう。

(uw25rescueccnu)
育児をしながら臨床獣医師として勤務中、その傍でペットについて正しい知識を知ってもらいたいという思いから、執筆も手がけています。

病気になる前にドッグフードをチェック!!

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