人間に置き換えて考えた場合、腎臓病を患っている方はあまり周りにいらっしゃらないかもしれません。しかし、ワンちゃんの場合にはそこまで珍しい話ではありません。10頭に1頭とも言われているほど多いのです。どの年齢でも発症する可能性がありますが、特に高齢のワンちゃんに多いのが、この慢性腎臓病(CKD chronic kidney disease)です。
この病気の特徴は、気づいた時にはかなり進行しているということです。二つある腎臓の 4分の3が働かなくなると表に症状が出てきて、飼い主さんが体調の異常に気がつくことになるのです。
腎臓の主な働きは体に必要のなくなった老廃物や毒素を尿として体の外に出すことですが、これを行うのがネフロンであり、この機能が低下してしまうと尿がうまく作れず、体に老廃物や毒素が溜まってしまうのです。当然、体に必要ないものが蓄積すれば体調はおかしくなってしまい、最終的には亡くなってしまいます。
慢性腎臓病は進行性の病気であり、一度ダメージを受けた腎臓は元に戻ることはありません。ですから、この病気は

①早期診断

②常に経過観察をして進行を遅らせる治療

③表に出ている症状の軽減

という三つを柱にして付き合っていくことになります。

犬の慢性腎臓病の原因

原因は、以前から腎臓に病気があった場合、尿路閉塞、遺伝的な背景、何らかの薬剤、高齢によって腎臓の機能が低下する、などが挙げられていますが、あまり明確なことはわかっていません。
また、なりやすいと言われている犬種は、サモエド、ブルテリア、ケアンテリア、ジャーマンシェパード、イングリッシュコッカースパニエル、シーズー、スタンダードプードル、ミニチュアシュナウザー、ビーグル、などですが、いずれにせよ高齢になってくると発症率は上がります。

犬の慢性腎臓病の症状

症状は時間をかけて徐々に複雑化していきます。また、全ての症状が必ず出るわけではなく、個体差が大きいのも事実です。以下に、よく遭遇する症状を挙げてみます。

・多飲多尿
・嘔吐
・下痢
・便秘
・体重減少
・食欲不振
・元気消失
・貧血

どの症状もとりわけ特徴的とは言い難いですが、特に多飲多尿(よく飲んで、沢山おしっこをする)は他の病気でもある症状で、外側からの症状だけでは診断できません。 また、腎臓は尿を作ることだけでなく、血液を造る作用に関わっている為、末期には貧血が明らかになって来ます。重篤な場合は歯茎の色も薄いピンクになります。

犬の慢性腎臓病の診断と治療

診断には血液検査、尿検査、レントゲンなどを行います。特に腎臓の機能を知るための血液検査は、普段からルーチンに行われる検査の項目に必ず入っていますから、ほとんどの病院ですぐに結果が出ると思います。
診断が下った場合には、状態に応じて入院して静脈点滴をしたり、自宅での皮下点滴を実施することになります。点滴をすることによって脱水を防いだり、尿量を増やして血液中に溜まっている老廃物を薄めて状態を安定化させます。更に内服薬の服用も必要になることが多いです。
フードに関しては、腎臓に負担をかけないように、タンパク質やリンの制限をした処方食を食べる必要があります。最近では種類が豊富に出ているので、一つを試して食べない場合は諦めずにいくつか試してみて下さい。多くの病院では腎臓の悪いワンちゃん用にサンプルフードを置いています。食欲が落ちる病気でもありますし、楽しみがご飯という子は多いですから、気に入ってもらって食べてもらわないと困ります。
そして、先に述べたように慢性腎臓病は進行性ですから、こういった治療は生涯続けることになります。

以下に、フードの例を挙げてみます。各社、ワンちゃんの飽きが来ないように、味の工夫をしていますから、獣医師と血液検査のデータとにらめっこをして、喜んで食べて貰えるフードを見つけなければなりません。また、フードが腎臓の負担を左右するわけですから、他のフードを与えて負担をかけるようなことがないように、気をつけましょう。

療法食の例

ヒルズ

k/d(ドライ、ウェット):蛋白質とリンを制限、心臓病にも対応しています。
u/d(ドライ、ウェット):蛋白質とリンを制限、更にシュウ酸カルシウム、尿酸塩およびシスチン尿石症にも対応しています。

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ロイヤルカナン

腎臓サポート(ドライ、ウェット):リンの含有量を制限し、タンパク質や必須脂肪酸の含有量を調整しています。
腎臓サポート・セレクション(ドライ):腎臓サポートと同様にリンを制限しており、腎臓に負担がかからないように、タンパク質は更に控えめにしています。

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エランコ

キドニーケア(ドライ):リン・たんぱく質・ナトリウムを制限しています。(ナトリウムは、特に進行した腎臓病や心臓病では制限が必要になる場合があります。)

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犬の慢性腎臓病の予防

最近では、検査方法も進化しており早期診断ができるようになって来たので、症状がない時点でもある程度の腎臓の機能を把握できます。ですから、高齢と考えられる7歳ぐらいからは、毎年の健康診断で血液検査をすることに加えて、もう一歩進んだ早期診断の検査も加えることは予防につながります。
また、普段から飲むお水の量や排尿の回数をしっかりと覚えおきましょう。冬と夏の変化もありますが、ちょっとでも多いかな?と感じたら、まずは病院で相談をしてください。

rihomeopath

筆者紹介 東京出身、獣医師、医学博士、人と動物のホメオパス、馬と牛の多いノルマンディーで、フランス人夫と田舎暮らしを始めたばかりです。

病気になる前にドッグフードをチェック!!

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